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日本、石油供給途絶の危機…サウジ、カショギ氏殺害で内戦勃発の最悪シナリオ

文=深笛義也/ライター

トランプとCIAの不仲がいわれているが、そのためにこのようなリークが行われているのだろうか。

「仲が良ければ、CIAはそんなことしないでしょうけれど、仲が悪いから勝手にやっているかもしれません。ましてやCIAからしたら、中東の混乱要因となると思われている、ものすごく危険な人物を擁護しているので、『「大統領、大丈夫ですか?」』と思っている可能性があります。ムハンマドさんも欧米の情報機関をものすごく嫌っていて、CIAのことは大嫌いです。CIAのほうもムハンマドさんを嫌ってます。

 前の皇太子のナイフさんをCIAは好きだったんです。アルカイダとの戦いでナイフさんは盟友だったんです。そのナイフさんを昨年の6月に失脚させて皇太子になったムハンマドさんのことは、嫌いなわけです。このままいくとムハンマドさんは、かなり厳しくなるでしょうね。アメリカの後ろ盾があるから、国内で他の王族達に手荒な弾圧を行ったりしても、なんとかもってたわけですから。

 アラブの春で失脚したムバラク大統領を思い出します。彼にもアメリカの後ろ盾があったのに、オバマ前米大統領が切った。その瞬間に国民の暴動や野党からの追及で、辞任に追い込まれただけじゃなく拘束までされた。トランプ大統領が『俺たちが守らなければ、2週間ともたないぞ』みたいに言っていますが、これがCIAの見立てだと思います。欧米ではもう、ムハンマドが関与してたかどうかなどということより、もっと先にいっています。だから孫さんも『やばいなあ』と思ってるのではないですか。こういう地政学的なリスクを被るのは、孫さんとしても初めてではないでしょうか。中東サウジアラビアを甘く見たと思いますね」

日本の石油輸入に影響

ムハンマド皇太子が追い詰められるとすると、どんな展開が予想されるのだろうか。

「1975年にファイサル国王が甥のムサーイド王子に撃ち殺されるという事件がありましたけど、王族内での内紛が表面化したら、アメリカでもロシアでも収拾できません。内戦が起きて、シリアと同じようになる可能性もあります。日本の原油輸入の4割はサウジからです。1975年に堺屋太一が『油断!』(文藝春秋)という本で、中東から石油が来なくなって、日本で何十万人も死者が出ると書きました。過去の第1次・第2次石油危機の時は価格は高騰しましたけど、原油の輸入量は増えています。商社が世界中から石油を集めましたから。

 だけどサウジが内戦にでも陥ったら、供給途絶になりかねません。日本はサウジからの輸入量がダントツに多いので、輸入先をほかに変えるとしても、世界第3位のGDP大国の日本がそれをやると、発展途上国向けの石油を奪ってしまうことになります。もちろん今、『油断!』の時代と違って、日本には3億6000万バレルくらいの石油が国家備蓄されているので、全量途絶しても90日くらいは大丈夫です。サウジからだけの供給途絶であれば200日くらいはもつでしょうから、その間に輸入代替はできるかもしれません。恐ろしくて、考えたくもない事態ですけどね」

 カショギ氏殺害は、日本にとっても遠い世界の出来事ではない。
(文=深笛義也/ライター)

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