北米の小型トラクターがドル箱
国内で農業機械の約4割のシェアを持つクボタは、農業機械の最大市場、米国で攻勢に出る。
世界の農機メーカーは、米ディア・アンド・カンパニーが首位。2位はイタリアの自動車メーカー、フィアットの傘下に入ったCHNインダストリアル。3位がクボタだ。稲作向けの農機では圧倒的な強みを見せるが、畑作向けで欧米勢に後れをとっている。
米国は、広大な土地を持つオーナーが大型から小型まで複数の農機を所有することが多い。中西部の穀倉地帯は、大型トラクターが主力のディア社が圧倒的な地盤を築く。
クボタは北米市場で、草刈りや庭園管理に使う40馬力以下の小型農機で4割のトップシェアを握り、酪農や牧畜などに幅広く使う40~120馬力の中型機も展開している。
そんななか、大型トラクターが主力のディア社が、クボタが得意とする小型市場に殴り込みをかけてきた。過去数年にわたる穀物価格の低迷が続き、高額な大型トラクターの売れ行きが鈍っているからだ。
対抗してクボタは15年、北米に170馬力の大型トラクターを投入した。さらに16年、米農作業機器メーカー、グレートプレーンズマニュファクチュアリング(GP)を495億円で買収した。GPはトラクターでけん引する種まき機や草刈り機が得意だ。クボタは大規模農家向けに、大型トラクターや種まき機のラインアップを強化した。
「北米はクボタのトラクター事業の約51%を占め、17年12月期連結売上高の14%となる2535億円の市場。特に中西部は北米のトラクター売り上げの約3分の1を占める重要な地域だ」(6月20日付日刊工業新聞)
18年1~6月期のトラクターの販売台数は、40馬力以下の小型機は前年同期比8.3%増、40~120馬力の中型機は同3.0%増。ただ、大型トラクターでは目立った成果を上げておらず赤字。大型トラクターは小型機よりも需要が限られているうえに、ディア社の厚い壁が立ちはだかっている。
18年12月期決算から、米国会計基準から国際財務報告基準(IFRS)に変更する。売上高の予想は、IFRSの基準で比較すると3.9%増の1兆8200億円となる見通し。最終損益は当初12.2%増の1510億円としていたが、8.1%増の1450億円に下方修正した。従来予想を60億円下回る。
稼ぎ頭だった北米の小型トラクターで、ディア社との販売競争が激しくなったことに伴い、販売奨励金(インセンティブ)の負担が増えたことや、トランプ政権が今春、鉄鋼、アルミニウムの輸入関税を引き上げたため、北米で生産する農機や建機の鋼材価格が大きく上昇したことが、利益が伸び悩む理由だ。
(文=編集部)