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筈井利人「陰謀論を笑うな!」

日産ゴーン逮捕、東京地検特捜部に世界中から批判…異分子排除の「宗教裁判」

文=筈井利人/経済ジャーナリスト

 ミルケン氏は1946年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校を首席で卒業した後、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールでMBA(経営学修士)を取得。証券会社ドレクセル・バーナム・ランバートに入社し、ウォール街で頭角を現す。

 ミルケン氏が仕事を始めた70年代、米国は厳しい不況に見舞われていた。当時、銀行は大企業と最高格付けの企業を除き、ほとんどすべての企業への貸し出しを削減する。資本効率が高く、高成長する新興企業も銀行から締め出された。

 ジャンク債は存在したものの、過去に高格付け銘柄として発行され、発行企業の経営悪化に伴い格付けの下がった「堕天使」と呼ばれる債券が、流通市場で取引されているだけだった。新規に発行される公募債は事実上すべて、超優良の大企業が発行する投資適格債に限られた。

 このため格付けの低い新興企業などは資本市場から締め出され、コストが高くつくうえに制約の多い銀行融資や、保険会社などの大口投資家に直接販売される私募債に頼らざるをえなかった。株式を上場していても、社債を発行できない企業が何万社もあった。

 こうしたなかでミルケン氏は、利回りの高いジャンク債は、倒産などのリスクを差し引いてもなお、メリットのある投資対象になりうると気づく。それを踏まえ、企業の資金調達手段としてジャンク債を活用する道を切り開いていく。

 ミルケン氏は77年、7社のジャンク債発行を成功させる。それ以来、投資家の人気を集め、発行が広がっていく。「ジャンク債革命」と呼ばれる。1979~89年にジャンク債の市場規模はほぼ20倍の2000億ドルに成長した。

 ジャンク債はクライスラー社など多数の製造業に資金を供給し、リストラを成功させた。しかしとくに恩恵を受けたのは、新興企業である。

 携帯電話のマッコーセルラー、ケーブルテレビ向け放送局のターナー・ブロードキャスティング、ケーブルテレビネットワークのバイアコム・インターナショナルなどが相次いでジャンク債で多額の資金を集め、成長の糧にした。ジャンク債は、そのころ活発になった敵対的企業買収の資金調達にも使われていく(フランクリン・アレン、グレン・ヤーゴ共著『金融は人類に何をもたらしたか』)。

 ここまではジャンク債の帝王、ミルケン氏の栄光の物語である。しかし話には続きがある。

筈井利人/経済ジャーナリスト

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