消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
もうひとつは、日産が増資をしてルノーの株保有比率を40%未満になるように希釈するという方法もある。そのためには約1割の増資が必要だが、それを既存の株主や市場が歓迎するかは、はなはだ疑問である。いずれにしてもこれらの選択肢は、基本合意書が有効である限りは、行使できる可能性は低いであろう。
中国企業に日産株を売却の可能性も
もし、日産がルノー株式を25%まで買い増しすることに成功したとしても、株主の興味は、日産が日本の会社であるかなどではなく、日産がPER(株価収益率)の高い企業になるかどうかである。ルノーが議決権のない無駄な日産株を売却してもアライアンスを維持でき、さらにフランス国内の雇用が守れるのであれば、ルノーは日産株を中国企業やファンドに売却するかもしれない。日産はこれを妨げることはできない。
もしルノーが中国企業に日産株を売却すれば、相当なキャッシュも入る。日産は現在、日本市場での販売台数は全体の1割程度で、中国市場は北米市場に次ぎ、全販売台数の3割弱(27%)を占める重要な市場なので、中国企業や中国政府も興味を示すだろう。市場もこれを歓迎して、日産の株価が上がるかもしれない。米国のトランプ大統領は怒るかもしれないが、フランスのマクロン大統領との関係は冷めきっているので、止めることもできないだろう。
結局、日産の主要株主が中国企業になるという展開だが、日産の中国市場依存をみれば、あながち荒唐無稽な話ではない。グローバル企業との交渉は、そこまでのリスクを見て行うのが当然だ。
次回は、これまでの議論を前提に、国家を巻き込んでルノーと日産の闘争はどのように着地するのかを検討してみたい。
(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)
Business news pick up
RANKING
23:30更新関連記事
2024.11.21 18:05
2024.11.21 18:00
2024.11.20 22:21
2024.11.20 20:41