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アベノミクス、逆回転の兆候…GDPも貿易収支もマイナス、10月の消費増税に暗雲

文=山田稔/ジャーナリスト
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百貨店売上高は2年ぶりマイナス、スーパー売上高は3年連続マイナス

 内需はどうだろうか。日本百貨店協会が1月23日に発表した18年の全国百貨店売上高は5兆8870億円で、既存店ベースで前年比0.8%減と2年ぶりのマイナスだった。インバウンド(訪日外国人客)に人気の化粧品が9.5%増と好調だったが、夏場以降の自然災害による消費意欲の落ち込みが響いた。12月単月は6805億円で0.7%減。2カ月連続の減少となった。

 スーパーマーケットは3年連続のマイナスだ。日本チェーンストア協会が1月22日に発表した18年のスーパー売上高は12兆9883億円。既存店ベースでは前年比0.2%減だった。12月単月は1兆2941億円で0.7%減で、3カ月連続のマイナス成長だ。

 唯一プラスとなったのは、コンビニエンスストア。日本フランチャイズチェーン協会が1月21日に発表した主要コンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで9兆7244億円で前年比0.6%増。2年ぶりのプラスとなった。12月も好調で前年同月比1.2%増の8741億円(既存店ベース)と2カ月連続の増加。

 18年の首都圏のマンション発売戸数は、前年比3.4%増の3万7132戸(不動産経済研究所の発表)。ただし、発売月に契約が成立した物件の比率は、前年から6.0ポイントダウンの62.1%。売れ行き好調の目安とされる70%を3年連続で割り込んだ。

 新車販売は前年比0.7%増の527万2067台と2年連続の増加だった(日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会の発表)。もっともプラスになった要因は、軽自動車人気。軽は192万4124台と前年比4.4%増で、過去5番目の高い伸びとなった。一方、普通・小型車は1.3%減の334万7943台と3年ぶりのマイナスだった。国内の新車販売は相次ぐ検査不正やゴーン事件の影響もあり、先行きは不透明だ。

 こうしてみると、内需はまちまち。力強さはどこにも見当たらない。百貨店は衣料品の販売不振から、この冬2回目のセールを開催するありさまだ。

 貿易も内需もパッとしないなかで、厚労省の統計不正問題が発覚し、政府統計の信頼性が大きく揺らぎ、アベノミクスの“成果”に疑問符が付けられている。米中貿易摩擦の影響を受ける日本経済の先行きに対する不安感も強まる一方だ。

 そんな状況のなかで、10月の消費税率引き上げは本当に「できる環境にある」といえるのだろうか。徹底した議論が必要だ。
(文=山田 稔/ジャーナリスト)

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