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当初、伊藤忠はTOBに5割ものプレミアムをつけたが、デサントの株価はジリジリ上がってきている。3月8日、日経平均株価が4日続落し、一時462円安の2万993円となったにもかかわらず、デサントの株価は市場の流れに抗して15円高の2515円をつけた。株価が2500円を超えたらプレミアムは12%、もし2600円になれば7%台に急低下する。TOBの上限が40%なので応募しても漏れる可能性が高いこともあって、「既存株主が意外と手放さないのではないか」(兜町関係者)といった見方も出てきた。
岡藤氏は拳を振り上げたからには完全に完璧に勝利しなければ経営者として大きなダメージとなる。「40%を上限とせず買えるだけ買う」ことにすれば、間違いなくTOBは成立する。デサントの株価次第で、最終局面でTOB価格(2800円)を引き上げるといった柔軟な対応が必要になるかもしれない。
敵対的TOBが主流になるか
伊藤忠がデサントを力で屈服させれば、敵対的TOBが日本の資本市場でも主流となる可能性は高い。買収防衛策が廃止され、株式の持ち合いも減り、安定株主が減少傾向にあるという構造的な変化を考えると、敵対的TOBが今後、増えることはあっても減ることはないとみられるためだ。
岡藤氏の“英断”が、どのようなかたちで結実するのか。デサントの6月末の株主総会は一見の価値がある。
一方のデサントは、社外取締役の権限を強める「指名委員会等設置会社」への移行の検討に入った。敵対的TOBを仕掛ける伊藤忠の経営への関与を薄める狙いがある。
指名委員会等設置会社に移行すれば、社外取締役が委員の過半数を占める「指名委員会」が、役員を選任、解任することになる。TOBが成立した後、伊藤忠出身の役員が人事などを決めようとすることに一定の歯止めを期待できる。しかし、移行には株主総会で議決権の3分の2以上の賛成が必要だ。筆頭株主の伊藤忠が賛同しなければ事は進まない。
デサントの6月末の定時株主総会に注目と前述したが、伊藤忠が臨時株主総会の開催を請求すれば、4月にも臨時株主総会は開くことができる。その臨時株主総会で石本社長の“首切り”を伊藤忠が断行するかどうかに関心は移った。
(文=編集部)
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