機関投資家はベンチマークに日経平均株価やTOPIXなどの指標を使っているので、ベンチマークから外れた銘柄は機械的に売ることになり、当然、その銘柄の株価は急落する。
日経平均採用銘柄で、ボーダーラインやそれ以下にあるのは4社。
繊維の名門、ユニチカの時価総額は277億円(2月末時点、以下同じ)で“不合格”。亜鉛大手、東邦亜鉛の時価総額は411億円で、こちらも厳しい。新日鐵住金(4月から日本製鉄に商号変更)系のフェロニッケル最大手、太平洋金属の時価総額は555億円。造船から撤退した日立造船は585億円。今のところ両社はギリギリ、合格圏に入っている。
地銀は時価総額500億円近辺に集まる
地方銀行は、ボーダーライン上にある銘柄が多い。琉球銀行は530億円で合格ラインを超えているが、400億円台後半にずらりと並ぶ。東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が経営統合して誕生した東京きらぼしフィナンシャルグループは498億円。ほかにも、宮崎銀行(482億円)、中京銀行(480億円)、山梨中央銀行(480億円)、十八銀行(461億円)とダンゴ状態だ。
400億円台前半には、四国銀行(444億円)、愛媛銀行(443億円)、三重銀行と第三銀行が経営統合した三十三フィナンシャルグループ(418億円)と続く。
地銀は地方経済の金融インフラとして、なくてはならない存在だが、過疎化が進み、今後の成長力は乏しい。銀行は、今や衰退産業だ。「成長性を重視する東証1部に、無理して残らないほうがいいのではないか」といったシビアな意見もある。
その一方で、銀行が東証1部企業でなくなると、東証1部企業が存在しない県も複数出てくるため、地方経済の衰退に拍車がかかることを懸念する向きもある。
東証1部上場の新しい基準が時価総額500億円以上に決まれば、それを達成するためにM&A(合併・買収)が加速する可能性は高い。その一方で、上場維持が難しい企業はMBO(経営陣が参加する買収)で上場廃止に踏み切るだろう。
もし、現在東証1部に上場している企業の半数以上が「2軍落ち」になれば、各方面から疑問の声が上がるだろう。2020年春と想定されている新市場誕生までには紆余曲折がありそうだ。
(文=編集部)