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みずほFG、メガバンクから脱落し“巨大な地方銀行”になる日…6千億円超の損失の戦犯たち

文=編集部

“One MIZUHO”を掲げ、12年、みずほ銀行の新システムの構築が発表された。新システムの開発は旧みずほ銀行のシステムベンダーである富士通、旧みずほCBの日立、旧富士銀とみずほ信託のIBMが分担することになった。旧みずほ銀行と旧みずほCBのシステム統合だけではなく、両行とは距離を置いていたみずほ信託まで一緒にしてしまおうという大プロジェクトである。

 当初の計画ではシステム刷新に4000億円を投じるとしていたが、減損を前倒しする分だけで4600億円に膨れ上がった。この資産に釣り合う収支が見通せないことから、5~10年かけて減価償却するとしていた従来の計画を見直し、一気に巨額の減損処理に踏み切ったことになる。

代表執行役は坂井社長と新任の加藤純一執行役専務の2人

 今回、みずほFGが「負の遺産」を前倒し処理する決断をしたのは、就任1年目の坂井辰史社長だ。旧3行による主導権争いと決別すべく、みずほFGは社外取締役で構成する指名委員会が首脳人事を決める体制に移行した。

 指名委員会の指名で、4月1日付で代表執行役に加藤純一執行役専務が就いた。代表執行役は社長の坂井氏と加藤氏の2人体制となった。坂井氏はみずほ証券社長、加藤氏はスイスみずほ銀行社長の経験があり、銀行の外のメシを食べてきた。次期社長の有力候補と目されていた岡部俊胤代表執行役副社長は副会長執行役員へと一歩、退いた。

 社外取締役として指名委員会委員長を務めてきた川村隆氏(元日立製作所会長)は、6月下旬に開催予定の株主総会で退任する。

収益構造が地銀に近いみずほがメガバンクから脱落する日

 今回の損失計上は、低迷が続く銀行業で重荷になっている「負の遺産」を一掃し、キャッシュレス決済などへの投資に舵を切るための前向きの措置と説明されている。

 坂井氏は「経営基盤の構造を変える。減損の必要のあるものはすべて終わり、(これ以上は)見込んでいない」と“反転攻勢”を目指すが、みずほFGの金融業界での地盤沈下は鮮明だ。

「3メガバンクの3番手」が定位置になっているだけでなく、メガバンクからの脱落の懸念が強まる。

 みずほFGは3メガバンクのなかでもっとも経費率が高く、銀行や信託以外の収益基盤が厚くないことから、収益構造は地方銀行に近いといわれている。

 巨額の減損処理を前倒ししても「ストック部分の粗利の減少は今後も見込まれる」(坂井氏)といった厳しい状況が続く。資産運用などの手数料収入や現金を使わないキャッシュレス決済の「Jコインペイ」といった新規事業で、いかに稼ぐ力を高められるかが勝負だ。

 3メガバンクのなかで唯一、周回遅れとなってしまった、みずほFGがメガバンクから脱落する日は近いかもしれない。稼ぐ力のないのが致命的だ。

 3メガバンクのなかで唯一、周回遅れとなってしまった、みずほFGがメガバンクから脱落する日は近いかもしれない。稼ぐ力のないのが致命的だ。

【大手・準大手行の2019年3月期の純利益の見通し】
1.三菱UFJフィナンシャル・グループ 9500億円
2.三井住友フィナンシャルグループ 7000億円
3.ゆうちょ銀行 2600億円
4.りそなホールディングス 2000億円
5.三井住友トラスト・ホールディングス 1700億円
6.みずほフィナンシャルグループ 800億円

(文=編集部)

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