初月契約率は18年1月から10月まで60~70%台で推移していたが、11月に50%台に低下。12月には49.4%と1991年8月の49.7%以来、およそ27年ぶりに50%を割り込んだ。あの平成大バブルの崩壊以来の低水準となった。その後、19年1月は67.5%、2月も65.6%と昨秋までの契約率の水準に戻ったものの、依然として節目の70%に届いていない。
東京23区で新築マンションの価格が高騰し始めたのは13年から。最初は建築費の高騰が大きな要因だった。そこへ史上最低金利を実現させた異次元金融緩和が加わる。15年は中国人の個人投資家の爆買いや富裕層の相続税対策によるタワーマンションの購入が重なり、一気に局地バブルが膨らんだ。
その後、高止まりの状態が続いたが、「かぼちゃの馬車」の不正融資事件を機に、金融機関が個人向け不動産融資にブレーキをかけたため、新築マンションも売れなくなった。
「令和」とともに始まる不動産バブルの崩壊
不動産業は市況産業だ。ブームと不況を繰り返してきた。1973年は日本列島改造論のブームのなかで不動産価格は高騰したが、オイルショックが起きると急落した。90年にピークを迎えた不動産バブルは、大蔵省(当時)が金融機関に総量規制を通達。不動産向け融資の伸び率を全体の伸び率以下に抑えるよう指導した結果、平成の不動産バブルは崩壊した。
2005年からの不動産市場は「ファンドバブル」と呼ばれた。最初は海外、その後は国内勢も加わり不動産を買い漁った。しかし、そのファンドバブルは08年のリーマン・ショックにより一気に崩壊。カタカナ社名の新興不動産デベロッパーが次々と倒産した。今回の不動産バブルは4回目。「かぼちゃの馬車」の事件に端を発し、金融機関は個人向け不動産融資に急ブレーキをかけた。
日銀は4月17日に公表した「金融システムリポート」で銀行による不動産業向け融資がバブル期の1990年末以来、28年ぶりに「過熱状態」に転じたとの分析結果をまとめた。不動産向けの融資残高は2018年末で78兆9370億円。4年連続で過去最高を更新中だ。不動産向け融資の対国内総生産(GDP)比率が18年10~12月に14.1%に達し、基準値の上限の13.0%を上回った。地方銀行の残高の伸びが目立ったという。