災害大国・日本に住むあなたは、いざというときのためにしっかり備えをしているだろうか。2011年の東日本大震災以降、その必要性から防災用品の市場規模は拡大しているが、その多くは指定避難場所など公共スペースに普及している。一般家庭まで浸透しているとはいいがたく、防災用品を備蓄している家庭は30%ほどともいわれているのが現実だ。特に若い世代になるほど防災意識が低くなるとされる実情は、国全体の課題といえる。
この低い普及率をなんとかできないかと、防災用品の開発・販売メーカーであるミヤビワークス(本社:岐阜県大垣市)が生み出したのが、オリジナル防災バッグ「OTE(On The Exit)」だ。
今年3月9日に発売されたOTEは玄関のスチールドアに磁石で貼り付けられるのが最大の特徴で、これまでの防災バッグとは大きくコンセプトを異にしているため、これまでも多くのメディアに取り上げられてきた。その中身は、「発災から約1日間、避難所にたどり着くまでに必要かつ充分な防災用品」を基準に厳選された、強力ヘッドライトや防塵マスクなど14品だ。
そこで今回、同社代表取締役の林雅浩氏に商品開発の経緯などを語っていただくと同時に、現在21歳の女優・酒井萌衣さんに若者のリアルな防災意識について聞いた。
スタイリッシュなデザインと実用性を両立
――玄関のスチールドアに貼り付けられる防災グッズというアイデアは、どのような経緯で生まれたのでしょうか?
林雅浩氏(以下、林) 楽天市場などの通販サイトでも売れている防災グッズがありますが、購入した方々に話を聞いてみると、それらを「押し入れなど緊急時に持ち出せない場所にしまっている」との声も少なくありませんでした。そこで「本当に使える防災バッグとは、避難の際に必ず通る玄関に置けるものではないか」という考えに至り、開発をスタートさせました。
酒井萌衣さん(以下、酒井) 普通の防災バッグってけっこう大きくて、玄関に置くのはちょっと邪魔ですよね。
林 はい。そのため、マンションの玄関ドアは消防法でスチール製と定められている点に着目して、ネオジウム磁石という強力な磁石を用いて、ドアに簡単につけられるようにしたんです。
――戸建てなどで磁石がくっつきにくい玄関ドアの場合はどうするのでしょう?
林 木造ドアだとさすがに無理ですが、別売りのフックをご購入いただければ掛けられるようになっています。くっつきにくいという程度であれば、より大きな磁石に交換するという対応も可能です。
酒井 アフターケアもしてくれるんですね! もしものときは玄関から出るときにこれを外して持っていけばいいだけですし、すごく便利! デザインもシックで、すごくスタイリッシュだと思います。
林 今の時代は防災グッズでもグッドデザイン賞を取っていたりと、オシャレなものが求められる傾向にありますが、部屋の趣向は男女、年齢によってそれぞれで、それらすべてに合わせるのは難しい。ですが、玄関ならどのお宅でもそこまで差がないということで、玄関に馴染む、郵便受けのようにも映るデザインにしたんです。
酒井 背負ってみても“災害感”がないですね。むしろオシャレ?(笑)