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第2のスルガ銀行…西武信金、自画自賛の驚異的成長の裏で暴力団融資、不動産向け融資偏重

文=編集部

都心に出店し、不動産融資で業績を伸ばす

 ほんの1年前まで、西武信金の落合寛司理事長は、“信金の麒麟児”ともてはやされていた。理事長に就任してから、爆発的に業績を伸ばしたからだ。

 落合氏は1950年、神奈川県生まれ。亜細亜大学卒業。73年、西武信金に入庫した生え抜き。2010年6月、理事長に就任した。

 西武信金は本店のある東京・中野区から西の多摩方面に展開する郊外信金だった。理事長に就任した落合氏は方向を転換し、資金需要が旺盛な都心部に打って出た。その戦略が当たり、1年間の貸出金増加額で連続してトップクラスの急成長を続けてきた。

 18年3月期の実績は、ホームページ上に「一般企業の売上高にあたる貸出金は前期比で2148億円の増加(業界NO.1)、仕入高に当たる預金は前期比1861億円の増加(業界NO.2)と過去最高の伸び」と誇らしげに記している。

 18年9月期中間期には、さらに伸長した。貸出金は1兆7252億円と、理事長就任からの8年間で倍増させた。預金は2兆643億円と初の2兆円の大台に乗せた。信金界の平均預貸率(預金に占める貸出の割合)は50%程度にととどまるなか、西武信金のそれは83.57%にも上る。驚異的な数字を示していた。

 貸出を牽引したのは、投資用アパート・マンション向けの融資だ。18年9月中間期には、全貸出のうち不動産賃貸業向けが46.25%を占めた。不動産向けの10.94%と合わせると57.19%となる。不動産向け融資割合は信金平均が22.8%だから、西武信金は突出している。

 当時、都心はタワーマンションブーム。これが引き金となり、東京五輪開催の決定とあいまって不動産のミニ・バブルが起きていた。西武信金は不動産のミニ・バブルを追い風に貸出金を伸ばした。「実態は不動産ファンドそのものだった」(有力信金の幹部)との指摘もある。

BusinessJournal編集部

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