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ワタミ、渡邉氏復帰で「鼻血出すまで働け」経営復活か…過去に過労自殺社員の遺族へ謝罪拒否

文=編集部

 ワタミは遺族との面談や謝罪を拒否。そのため女性の遺族は、ワタミや代表取締役だった渡邉氏に損害賠償を求める民事訴訟を起こした。15年12月、東京地裁で日本では、それまで前例のなかった「懲罰的慰謝料」(計1億3365万円)を認める内容で“和解”が成立した。

「道義的責任はあるが、法的責任はない」と争う姿勢を示していた渡邉氏は、頑な態度を突然翻し、和解交渉の場に現われ、自殺した女性従業員の両親に謝罪した。

「自殺した彼女への墓参りに行きたい」との意思表示をしたが、遺族は墓参りを拒否した。

事業は縮小に次ぐ縮小

 ワタミは1986年、渡邉美樹氏が創業。居酒屋「和民」で居酒屋ブームの先駆けとなった。宅食、農業、介護に進出するなど一気に業容を拡大した。しかし、「ブラック企業」批判による企業イメージ悪化で、主力のチェーン店「和民」や「わたみん家」の客離れにつながった。

 不採算店舗の閉鎖に伴う減損損失が発生し、14年3月期には上場以来初の49億円の最終赤字に転落。翌15年3月期も128億円の赤字と2期連続の赤字に沈んだ。

 渡邉氏の後を継いだ2代目社長の桑原豊氏、3代目社長の清水邦晃氏は、介護、太陽光発電を手がける孫会社や弁当や総菜の自社工場などを次々と売却し、不稼働資産の整理を進めてきた。しかし、売上高の5割を占める国内の外食事業が業績の足を引っ張った。

 19年3月期の連結決算の売上高は前年同期比1.8%減の947億円、営業利益は同61.8%増の10億円、純利益は同9.1倍の13億円だった。売上高は最盛期(14年3月期の1631億円)の6割程度。減少に歯止めがかかっていないが、外食事業の採算が改善したことで回復基調にある。「ワタミ」や「わたみん家」の一部の店舗を鳥料理の「ミライザカ」、焼き鳥の「鳥メロ」に転換。ワタミにつきまとうブラックのイメージを消すことに成功し、新規顧客の来店につながったという。

 外食の売上高は前期比1.2%減の477億円だったが、セグメント営業利益は同2.1倍の11億円と好転。稼ぎ頭は宅食事業で売上高は3.3%減の361億円、セグメント営業利益は8.1%増の21億円。外食の収益改善と宅食の増益が寄与した。

 渡邉氏の復帰は、縮小均衡経営に対する危機感の裏返しである。渡邉氏は「売上高5000億円を目指す」と大風呂敷を広げた。

「たとえ無理なことだろうと、鼻血を出そうがブッ倒れようが、無理矢理にでも1週間やらせれば、それは無理じゃなくなる」

 06年、『日経スペシャル カンブリア宮殿』(テレビ東京)に出演した際の渡邉氏の過激な発言だ。ワタミに復帰する渡邉氏は“ブラック企業”と批判されることを厭わず、「鼻血を出すまで働け」とハッパをかけるのだろうか。
(文=編集部)

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