居酒屋「和民」などを展開するワタミは、鶏肉を使った料理を提供する店舗を急速に増やしている。同社は「ブラック企業」との批判を受けたことなどでブランドイメージが低下し、競争激化も相まって業績が悪化。一度は奈落の底に落ちたが、鶏業態が下支えし業績は底を打ちつつある。
この鶏業態が復活のカギとなっている。から揚げがメインの居酒屋「ミライザカ」と、焼き鳥がメインの居酒屋「三代目鳥メロ」以外にも、続々と鶏業態を繰り出している。
同社が発表した2018年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比2.0%減の465億円、営業損益は4億円の赤字(前年同期は2億円の赤字)だった。主力の国内外食事業と宅食事業、海外外食事業は、いずれも減収だったことが影響した。ただ、いずれも微減にとどまっている。
最主力の国内外食事業は、売上高が前年同期比3.5%減の226億円、営業損益は6700万円の赤字(前年同期は8400万円の赤字)だった。減収となったが、不採算店の閉鎖が主な要因のため、問題視する必要はないだろう。営業損益は赤字だったが、わずかではあるが改善している。
同社は“ワタミ”の名を冠する居酒屋「和民」「わたみん家」において客離れが深刻化し、14年3月期に同事業は営業赤字に転落。その後も赤字が続き、不振に苦しんできた。しかし、18年3月期には5年ぶりとなる黒字を達成することに成功した。経営改革が実を結びつつある。
特に功を奏しているのが、不振の和民やわたみん家を三代目鳥メロやミライザカに積極的に転換していったことだろう。転換や閉鎖を進め、4~9月期だけで和民とわたみん家は60店減り、三代目鳥メロとミライザカは58店増えた。その結果、三代目鳥メロが134店(9月末時点)、ミライザカが149店(同)となっており、現在は両業態がワタミの主力となっている。
新店の三代目鳥メロとミライザカは計画を上回るほど好調だという。4~9月期は、三代目鳥メロが計画比20%増、ミライザカが同3%増だった。一方で転換店の既存店売上高も好調で、三代目鳥メロが同0.2%増、ミライザカが同5.7%増だった。好調を受け、18年10~19年3月期も新規出店と転換で両業態を計10店増やすとしている。