鶏料理店の新業態を続々オープン
焼き鳥やから揚げといった鶏料理は、いま市場全体で勢いがある。「鳥貴族」など焼き鳥を扱う居酒屋は増えており、鳥貴族の拡大に追随するかたちで、「やきとりセンター」「鳥二郎」「やきとりスタンダード」といった焼き鳥居酒屋が雨後の筍のように、近年は数多く出現している。
また、コンビニエンスストア各社がレジ横などで焼き鳥やから揚げを扱い、販売を強化している。たとえば、ファミリーマートは3~4月に、「チキンフェスティバル」と称し、フライドチキン「ファミチキ」と焼き鳥のセールと販売対決の企画を実施している。このように、三代目鳥メロとミライザカ以外でも鶏肉料理を扱い、販売を強化している店が増えている。
背景にあるのは、消費者の健康志向の高まりと根強い節約志向だ。低価格で健康的なイメージが強い鶏肉の人気が高まっている。農畜産業振興機構によると、食肉の消費において、かつては豚肉が不動の1位を誇っていたが、12年に鶏肉が取って代わり、以降、鶏肉が1位をキープするようになったという。
こうした流れを受けて、ワタミは三代目鳥メロとミライザカを増やしているのだが、同社が鶏肉料理を提供する店は、これらだけではない。さまざまなかたちで鶏肉料理の提供を始めているのだ。
11月21日、ワタミは東京都大田区に新業態「から揚げの天才」をオープンした。から揚げと卵焼きが看板商品でアルコールも提供する。卵焼きは、実家が卵焼き店で演出家のテリー伊藤氏と組んで開発した。から揚げは1個税別99円、卵焼き2切れは140円、ハイボールは1杯199円と、どれも値ごろだ。から揚げと卵焼き、ごはん、みそ汁などがセットになった「からたま定食」(690円)など定食メニューも充実している。昼はから揚げと卵焼きの定食需要を見込み、夜はから揚げをつまみにアルコールを飲む「ちょい飲み」需要を取り込む。フランチャイズ展開を視野に入れているという。
東京・渋谷にフライドチキン店「ビービーキュー オリーブチキンカフェ」をオープンしている。ビービーキューは韓国最大のフライドチキンチェーンで、世界25カ国2500店以上を展開している。フライドチキンやササミフライ、チキンサラダなど鶏肉料理を専門的に提供する。フライ商品はオリーブオイルを使用した特製フライオイルで揚げているのが特徴だ。そのビービーキューと提携して日本での店舗拡大を目指す。
14年2月に神奈川県武蔵小杉市で1号店を出店した中華料理店「ワンズガーデン」は麻婆豆腐や小籠包など、さまざまな中華料理を提供するが、バンバンジーや蒸し鶏のサラダ、フライドチキンなどの鶏肉料理も提供する。鶏肉を甘辛いタレと山椒で和えた「特製よだれ鶏」は同店の名物料理となっている。商品名は、思い出すだけでよだれが出るということで名づけられた。
米国風レストラン「TGIフライデーズ」でも鶏肉料理を提供する。TGIフライデーズは世界60カ国900店以上を展開し、日本ではワタミと提携して1999年に渋谷に1号店をオープン。現在は国内に14店舗を展開している。ボリューム感のあるハンバーガーやステーキなどの料理を提供するが、鶏肉料理も豊富で、手羽のフライやグリルドチキン、ササミフライなどを提供している。たとえば、鶏肉を薄焼きパンで包んだ「チキンケサディア」が人気料理となっている。