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憧れのハイアットリージェンシー東京が悲惨な状況に…持ち主「小田急電鉄」が売却へ

文=Business Journal編集部
ハイアットリージェンシー東京(「Wikipedia」より)
ハイアットリージェンシー東京(「Wikipedia」より)

 小田急電鉄が東京・西新宿のホテル「ハイアットリージェンシー東京」の売却を検討している。ハイアットリージェンシー東京が入居するビルのほか、隣接するオフィスビル、小田急第一生命ビルの持ち分も売却する方針で、売却額は1000億円規模となる。ホテルを運営するグループ会社も売る。

 売却先を決める入札手続きを進めており、複数のファンドが関心を示している。今後、数カ月かけて売却先を絞り込む。旧淀橋浄水場跡地につくられた新副都心地区の土地を小田急電鉄と第一生命保険が共同で購入。小田急が小田急センチュリービル、第一生命が新宿第一生命ビルディング(現・小田急第一生命ビル)を、それぞれ高さ117メートルの超高層ビルとして建設した。

 小田急側のビルに1980年、ハイアットブランドの日本初のホテル「ホテルセンチュリーハイアット」を開業。その後、2001年、「センチュリーハイアット東京」、2007年に「ハイアットリージェンシー東京」に改称した。

 同ホテルのシンボルはロビーの3基のシャンデリア。直径4メートル、高さ8メートルで重さは2トンもある。オーストリアの高級ガラス製品ブランド、スワロフスキー製で、1980年の開業にあわせて1基5000万円で購入したといわれている。

 小田急はシティホテルのハイアットリージェンシー東京やリゾートホテルの箱根・芦ノ湖の「山のホテル」など5つのホテルを経営している。新型コロナウイルス感染症の拡大で国内旅行客が激減した。外国人観光客の蒸発とあいまってホテルの稼働率は低下していた。

 21年3月期のホテル業の営業収益(売り上げに相当)は108億9100万円で、20年3月期に比べて170億円5600万円の減収だった。このため104億2900万円の営業赤字(20年3月期は20億7000万円の赤字)を計上した。ハイアットリージェンシー東京の客室稼働率は11.7%(同75.9%)、外国人宿泊者比率は13.7%(同77.8%)と惨憺たる結果だった。

 22年3月期はシティホテル、リゾートホテルとも稼働が上向き、営業収益は126億円と17億800万円の増収の見通し。引き続き赤字で、営業赤字は81億円の見込みで黒字転換にはほど遠い。

 この間、ハイアットリージェンシー東京を運営するホテル小田急では希望退職を募集したほか、館内の併設レストランやプールなど大半の施設を閉店・閉鎖してきた。

新宿駅西口再開発に集中

 小田急電鉄は新宿駅西口地区の再開発を進めている。50年以上の歴史を持つ小田急百貨店(非上場)の新宿店本館は22年9月に営業を終了し、解体する。小田急新宿店本館のあるエリアの再開発では、小田急と東京地下鉄(東京メトロ)が地上48階、地下5階建て、高さ260メートルの超高層ビルを建設し、商業施設やオフィスが入る予定だ。22年10月に着工する。

 この再開発事業に今年2月、東急不動産が参画した。小田急が土地を提供、東急不動産が建物の開発を担い、開発後は土地と建物を小田急と共同で保有する。両社で2000億円を投下するが、総事業費はさらに膨らむ。渋谷をホームグラウンドとする東急不動産は、新宿でも本格的に再開発に取り組むことになった。

御三家、新御三家、新々御三家

 帝国ホテル東京(日比谷)、ホテルオークラ(現・The Okura Tokyo、虎ノ門)、ホテルニューオータニ(紀尾井町)を「御三家」と呼び、高級ホテルの代名詞とされてきた。90年代から外資系ホテルが進出。フォーシーズンズホテル椿山荘東京(現ホテル椿山荘東京、目白)、パークハイアット東京(西新宿)、ウエスティンホテル東京(恵比寿)が「新御三家」となった。

 2000年代に外資系の新しいブランドのホテルの参入が相次ぎ、「新々御三家」が出揃う。マンダリンオリエンタル東京(日本橋)、ザ・リッツ・カールトン東京(六本木)、ザ・ペニシュラ東京(銀座)を指す。多くの外資系ホテルチェーンが進出しているが、ヒルトンとハイアットが日本人にはなじみが深い。

 ヒルトンは上級ブランドのコンラッド東京(汐留)を運営している。ハイアットはパークハイアットやグランドハイアット、アンダーズ、ハイアットリージェンシーなどいくつかのブランドのホテルがある。パークハイアットは300室以下のスモールラグジュアリー(最高級)ホテルで、新御三家のパークハイアット東京がこれに当たる。

 ハイアットリージェンシーは一般的なシティホテルといった位置づけで、東京、大阪、京都、福岡など全国各地にある。私鉄大手では、プリンスホテルを経営する西武ホールディングスが2月、国内のホテルやスキー場など31施設をシンガポールの政府系ファンドのGICに約1500億円で売却すると発表した。

 ホテルは不動産投資のなかでは収益性が高いが、景気の動向に左右されるため、業績の振れが大きい。コロナのようなパンデミックが起こると赤字に沈む宿命を負っている。コロナ禍、資金力の大きい海外の投資ファンドは“日本買い”の絶好のチャンスと捉えている。ホテルも掘り出し物があれば積極的に買う姿勢だ。

BusinessJournal編集部

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