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篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」

世界で一番ウマいバーベキューは?各国のBBQを知り尽くした私の一推しレシピ

文=篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師
世界で一番ウマいバーベキューは?
どこの国のBBQがウマい?(「Getty Images」より)

 今年は猛暑の夏となり、皆さんのなかにはデイキャンプとまではいかなくとも、家族や友人と野外バーベキューなどを楽しんでいらっしゃる方も多いかと思います。換気の良い野外で、焼き上がったトウモロコシなどをかじりながら、ワインを飲んだりするのは至福の時間です。

 日本のバーベキューも、この数年のアウトドアブームで進化し、ダッチオーブンでローストチキンをつくったり、ピザを焼いてみたりと、思い思いのやり方で楽しむ方も増えているようですが、基本的には焼き肉、ソーセージ、焼きそばが定番でしょうか。なぜか、バーベキューではアスパラガスを焼きたくもなりますが、いずれにしても、みんなで火の周りに集って、わいわい過ごすのは心躍る時間です。

 それが、いつの間にか一人だけが焼く係となって、汗をふきふき焼き続けているのを尻目に、ほかのメンバーは椅子に座って缶ビール片手に談笑しているのも、よくある光景です。

 僕は仕事柄、留学先のオーストリアから始まりイギリス、アメリカと移り住みながら、それ以外にもさまざまな国々に滞在する機会がありました。そんななかで、本場アメリカのバーベキューがどんなものかといえば、日本のように焼き肉という感じではなく、まずバーベキューコンロですべての材料を焼いてから、全員がテーブルについて食事をするのが一般的です。実は、ほかの国々でも同様のスタイルなのです。バーベキューといえば、網でジュージューと焼きながら食べる、というイメージがある僕にとっては、最初はちょっとさみしい感じもしていましたが、今ではこれも良いと思っています。

アメリカ式のBBQ

 ところで、バーベキュー先進国のアメリカのバーベキューは、さぞかし豪華だろうと想像される方が多いでしょう。確かに、Tボーンステーキをどんどん焼いて、大きな肉の塊を頬張るようなケースもありますが、アメリカでバーベキューといえば、何よりもハンバーガーです。

(1)塩こしょうを混ぜた挽肉を薄いハンバーグ状にしてバーベキューコンロに置き、蓋を閉めて蒸し焼きにする。スモークチップを使うと香りがついて、よりおいしくなる。

(2)焼き上がったハンバーグと、少し厚く切った生のトマトに、ケチャップやマスタードをつけ、薄切りタマネギ、お好みでピクルス加えて、ハンバーガー用のパンで挟む。

 つくり方はたったこれだけなのですが、ファストフードでは味わうことができない、本物のアメリカンハンバーガーが出来上がります。もちろん、味は最高で、ビールにも合うこと間違いなしです。

イギリス式のBBQ

 他方、イギリスは、名物料理がビーフステーキであることからもわかるように、実はバーベキュー大国です。バーベキューをするのが好きな国民で、エリザベス女王在位70周年とか、ワールドカップでイギリスが活躍しているとか、簡単に言えばどんな理由でもいいので、とにかく野外で大騒ぎするのが大好き。そんな彼らの典型的なバーベキュー料理のレシピを紹介します。

(1)ソーセージを焼く。

(2)薄切りタマネギを炒めておく。

(3)焼き上がったソーセージとタマネギをホットドック用のパンに挟む。お好みでマスタードやケチャップを添える。

 なんのことはない、普通のホットドックです。もちろん、今ではステーキ肉もじゃんじゃん焼くわけですが、年配の友人は「昔はバーベキューといえばホットドックだったよ」と言っていました。日本やアメリカと違うのは、しっかり炒めたタマネギの甘みが味を引き立てることです。しかも、イギリスパンでも大丈夫で、むしろこちらのほうが意外とおいしいくらいです。

南アフリカのブラーイ

 そんななかで、僕が世界で1番おいしいと思うのは、ずばり南アフリカの「ブラーイ(南アフリカ風バーベキュー)」です。南アフリカは複雑な歴史を持った国で、もともとアフリカ人たちが住んでいた土地に、オランダから移民がやってきて農耕を始めました。その後、豊富な金が発見されたことによりイギリス人たちが押し寄せ、自分たちの国のように振る舞うことになりました。

 今もなお、南アフリカの白人の半分くらいの人々はオランダ語系のアフリカーンスを話しています。そんな開拓民の彼らは、野外でも簡単に調理できるバーベキューを盛んにしていたのでしょう。このブラーイの語源は、オランダ系の移民たちの言葉だそうです。

 レシピは、とにかく肉を焼く、ソーセージを焼く、ジャガイモも焼いてしまえといったワイルドなもので、大きなパーティともなると子牛を一匹まるごと焼くようなこともあると聞いたことがありますが、調理はかなり丁寧です。肉には下味をしっかりと付けて、炭にもチップを加えたりしながら、蓋を閉めてローストにします。出来上がる頃には、牛肉も鶏肉も、外は香ばしく、中はジューシーになっています。

 そして、完成した料理は大皿に載せて別テーブルに並べ、ホテルバイキングのように一人ひとりがお好みの料理を自分の皿に好きなだけ取ってテーブルにつき、品質が良いことで有名な南アフリカワインをグラスに注ぎ、ナプキンを膝の上に置いて優雅に食事を始めるのです。キャンドルが並べられたテーブルで、気の利いた会話を楽しみながら、めっぽううまい料理を堪能するのが、南アフリカ風バーベキュー“ブラーイ”です。

 欧米のバーベキューは、みんなで集って、野外で料理したあと、ゆっくりと食事を楽しむという形ですが、日本のバーベキューの材料だと、冷めると肉が硬くなってしまうので、どうしても誰かがバーベキューコンロの前に立って焼き続けることになります。これでは、最後の焼きおにぎりに至るまで、一人の犠牲者が椅子に座るすらできないことになります。

 アドバイスするならば、分厚い肉を焼いてください。分厚い肉であれば、冷えても硬くなることはなく、いつまでもジューシーです。どうしても薄切りカルビを食べたい場合は、直火で焼かず、蓋付きのコンロで蓋をしてローストすることです。これだけで、少々の時間ならば、冷めてもおいしいカルビやロース肉を楽しめます。

フィンランド式のBBQ

 最後に、番外編として、フィンランドの夏のバーベキューを紹介します。レシピの中に「釣り竿」が出てきますが、驚かないでください。

(1)夏のコテージのサウナに入る。白樺の枝で凝り固まった肩や背中を叩く。

(2)熱くなった体を冷やすために、裸のまま目の前の湖に飛び込む。

(3)サウナの後、釣り竿を持ち、今飛び込んだばかりの湖に釣り糸を垂らす。

(4)釣れた魚に塩を振って、そのままバーベキュー。

 これがめっぽううまいのです。しかも、サウナ内でも、熱くなったサウナ機の上に載せておいたソーセージをおつまみにビールをグビリ。僕がこの原稿を書いている間も、フィンランドの友人たちは、そんなバーベキューを楽しんでいるに違いありません。

(文=篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師)

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

 桐朋学園大学卒業。1993年ペドロッティ国際指揮者コンクール最高位。ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクールで第2位を受賞し、ヘルシンキ・フィルを指揮してヨーロッパにデビュー。 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後ロンドンに本拠を移し、ロンドン・フィル、BBCフィル、フランクフルト放送響、ボーンマス響、フィンランド放送響、スウェーデン放送響、ドイツ・マグデブルク・フィル、南アフリカ共和国のKZNフィル、ヨハネスブルグ・フィル、ケープタウン・フィルなど、日本国内はもとより各国の主要オーケストラを指揮。2007年から2014年7月に勇退するまで7年半、フィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者としてオーケストラの目覚しい発展を支え、2014年9月から2018年3月まで静岡響のミュージック・アドバイザーと常任指揮者を務めるなど、国内外で活躍を続けている。現在、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師(指揮専攻)として後進の指導に当たっている。エガミ・アートオフィス所属

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