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缶レモンサワー主要11商品、徹底レビュー&マトリックス図…氷結無糖レモンは

文=渡辺雅史/ライター、協力=ストロングおじさん
缶レモンサワー主要11商品マトリックス図(作成:ストロングおじさん)
缶レモンサワー主要11商品マトリックス図(作成:ストロングおじさん)

 レモンサワー人気が止まらない。キリンは「氷結無糖レモン」が2020年10月の発売から今年6月で9億本を突破したと発表。これは過去20年で発売したキリンのRTDブランド(栓を開けてそのまま飲めるチューハイ・ハイボール等の総称)のなかで最速の記録だという。

 氷結のようにシリーズ商品のなかの一つのフレーバー、レモン味のチューハイという位置付けの商品もあるが、ここ数年は各社がレモンサワーに絞った商品を開発。コンビニの冷蔵棚にレモンサワーが10種類以上並んでいるという光景は当たり前となった。

 安くて美味い新商品が店頭に並ぶのは我々にとってありがたいこと。だが、たくさんありすぎると、どの商品が自分の好みにバチッと合うのか、その時の気分にガチッとハマるのかがよくわからない。そこでRTDを愛し、独自のマトリクス図で各商品の味の方向性を分析しているストロングおじさんに、レモンサワーブームに至る流れや個性あるレモンサワーの味の方向性、こんな時はこの商品がオススメといったことについて話を聞いた。

「缶チューハイ市場がグッと成長したのは2010年代。2008年のリーマンショックなど景気の悪化で、発泡酒などの安いビールからさらに安い缶チューハイへのシフトが進みました。レモンサワーが増え始めたのは18年。なかでもインパクトが大きかった商品は『檸檬堂(定番レモン)』といえるでしょう」

「18年以前のレモンサワーといえば、図の右下部分。『甘さ強め・レモン感弱め』の商品をイメージする人が多かったと思います。そんな時代に、すりおろしレモンを酒に漬け込んで酸味だけでなくレモン丸ごとの皮の香りや苦味も表現した、レモンがガツンと効いた『檸檬堂』が発売。当初は九州地区限定での販売でしたが、19年になると全国に販売エリアが広がり、レモンサワーの人気が一気に上がりました」

 19年にはもう一つのヒット商品が生まれる。

「『こだわり酒場のレモンサワー』はレモン感はしっかりめながら、甘さを控えて飲み口がスッキリとした商品。レモン感・甘味ともに濃厚の『檸檬堂』とは一線を画すもので、レモンサワーの幅を広げたといえるヒット商品。この2つのヒットで2020年以降、各社がレモンサワーの商品を続々投入しました」

 18年以降に発売されているレモンサワーの方向性は、大きく分けて3つあるという。

「まずは図の右上『レモン感強・甘さ強』という濃厚系。これは『檸檬堂』『贅沢搾り レモン』『ニッポンのシン・レモンサワー』『麒麟 百年 極み檸檬サワー』が該当します。特徴はなんといってもレモンの味の濃さ。従来のレモンサワーを楽しんでいる方、レモンサワーをあまり飲まないという方には、ぜひ飲んでいただいて濃厚かつ本格的なレモン感を味わっていただきたいですね」

濃厚系レモンサワー

 濃厚系の4商品、ストロングおじさんが評価する各商品のストロングポイントは以下のとおり。

・コカ・コーラ「檸檬堂 定番レモン」

 酸味&苦味のあるレモンの濃厚なうまみ。甘さもあいまって飲み応えあり。酸味が引き気味になる後味で落ち着いた味わい。

・アサヒ「贅沢搾り レモン」

 檸檬堂に近いが果汁のみを使用しているため、レモンのフレッシュさや酸味がより引き立つ。レモンの酸味をストレートに感じたい人にオススメ。

・サッポロ「ニッポンのシン・レモンサワー」

 レモンの爽やかな香りとトゲのない酸味。適度な甘さによるジューシーもある。「シン・レモンサワー」の名前の通り、従来のレモンサワーをアップグレードしたというイメージ。

・キリン「麒麟 百年 極み檸檬サワー」

 レモン感を残しつつ、酸っぱい刺激が抑えられたまろやかな味わい。レモン果汁をビールの製造技術で培った酵母で発酵させており、独特のうま味がある。ほのかな甘みが豊潤な飲み口を演出。

辛口系レモンサワー

 2つめの味はレモン感を楽しめる辛口しっかり系。

「『こだわり酒場のレモンサワー』が切り開いた、従来よりレモン感が濃く、甘さを控えた味わいの商品。味が濃い料理はたまに食べるとものすごく美味しいですよね。でも毎日食べ続けると飽きてしまうことがある。この系統の商品はレモン感はしっかりありながらも甘さをおさえているので、毎日飲んでも飽きがきにくいというのが特徴。居酒屋に行ったらレモンサワーばかり飲んでいる、といったレモンサワー好きに飲んでほしい商品です」

 レモン感を楽しめる辛口しっかり系の4商品、ストロングおじさんが評価する各商品のストロングポイントは以下のとおり。

・アサヒ「ザ・レモンクラフト 極上レモン」

 凝縮されたレモンの香味が鼻腔に突き刺さり、香りが後味までしっかり持続。他のレモンサワーにないレモン感。スタイニーボトルを開けた時に広がる香りを楽しんでほしい。このカテゴリーでは甘さがあるほうで、飲みやすさもある。

・キリン「麒麟特製 レモンサワー」

 同じアルコール度数の「ストロングゼロ」よりずっしりした重めの味わい。後味には爽やかさもあるが、それよりもレモンの複雑でコクのあるうま味が前に出る。アルコールの強さがこの重厚な味わいと釣り合っている。

・サントリー「こだわり酒場のレモンサワー」

 甘さ控えめのスッキリしたレモンサワーだが、レモンと酒の風味が染み入るような感じ。スッキリだけどしっかりうまい。毎日飲むならぜひ。

・サッポロ「濃いめのレモンサワー」

「こだわり酒場のレモンサワー」よりレモン感も甘さもワントーン強め。酸味が前面に出てくるレモン感が最大の個性。最近の商品では珍しい、しっかりすっぱいレモンサワー。

辛口スッキリ系レモンサワー

 最後に紹介するのは、レモン感、甘さともに控えた辛口スッキリ系。

「『氷結無糖レモン』のヒットで注目のジャンルです。甘さが少ないということで無糖の商品が多いです。甘さが少ないことで飲み応えが薄くなってしまうためか、アルコールを標準的な缶チューハイより濃いめ(6〜7%)にしている商品が多いです。毎日飲む派でお酒が好きという人に合うと思います」

 辛口スッキリ系の3商品、ストロングおじさんが評価する各商品のストロングポイントは以下のとおり。

・キリン「氷結 無糖レモン」

 フレッシュなレモン果汁の酸味が特徴のスッキリさを前面に押し出したレモンサワー。甘さがない分、爽やかさがより活きた飽きの来ない飲み口。度数7%のしっかりした飲み応え。

・サントリー「-196℃瞬間凍結 無糖レモン」

 レモンの皮のほろ苦さと奥深いレモン感があり、無糖ながらレモンのうまみを感じるスッキリなのにしっかりレモンの主張がある商品。

・タカラ「焼酎ハイボール レモン」

 06年発売。レモンの香りは添える程度で焼酎をすっきり飲ませるためのスパイス的位置づけ。他の商品はウォッカベースだが、こちらは焼酎がベースなので酒の味と香りがしっかりして飲み応えがある。

 最後に、レモンサワーブームの今後について聞いた。

「缶チューハイの市場はビールから転向する人が増えていることで伸びています。辛口でスッキリというのがビールの味わいの特徴。なので今後は『氷結 無糖レモン』のような系統の新商品が続々登場するのではないでしょうか。無糖という要素も健康志向の時代にマッチしていますしね」

「檸檬堂」の発売から5年。ブームが続くレモンサワーだが、味わいは濃厚甘口からスッキリ辛口へと大きく変化。ブーム当初とは方向性が異なっているようだ。

ストロングおじさん

ストロングおじさん

日々RTDの研究に勤しむ38歳既婚のおじさん。得意のパワポを駆使し、新製品のレビューから企業の製品開発・プロモーション企画の支援まで手がける、自称・RTD consultant。尚、RTDとはReady to Drink、栓を開けてすぐ飲める、缶や瓶入りのチューハイ・ハイボール等の総称です
sストロングおじさんのパワポでまとめるRTDの世界

Twitter:@strong_ojisan

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