かつや、年末感謝祭に客が殺到…店外まで行列、あまりの混雑に常連客から不満の声

　かつ丼が594円～（税込、以下同）という低価格で食べられることで人気を博している、とんかつチェーン「かつや」。今年8月に25周年を迎え、2023年11月末現在で国内467店舗を構えるほどの業界大手で、来店客には次回来店時に使用できる「100円割引券」を渡し、リピートを誘う施策も広く知られている。

　そのかつやにおいて、恒例となりつつある「年末感謝祭」が12月7日～10日の4日間限定で開催された。「カツ丼（竹）」（通常時は759円）、「ソースカツ丼（竹）」（同759円）、「ロースカツ定食」（同792円）、「カツカレー（竹）」（957円）の、いずれも605円で食べられるお得なキャンペーンだ。

　また、「頑張った日も、明日から頑張ろうと思う日も、全部カツ丼の日」といったテレビCMなども放送され、キャンペーンは広く認知されたようだ。

　お得感やテレビCMの効果もあってか、キャンペーンの期間中、かつやの複数の店舗で店外にまで行列をつくるほど客が殺到。混雑しすぎて店に入れないという声が、常連客を中心としてネット上にあふれた。さらに、同期間中は「100円割引券」が使えないという不満の声も散見された。

　そこでBusiness Journal編集部は、かつやを運営するアークランドサービスホールディングスの広報部に直接話を聞いた。

――常連客などから混雑しすぎて店に入れないという声が散見されました。

広報担当者「昨年以上の来客があり、混雑していたのは事実です。物価上昇などの社会情勢もあり、年末感謝祭のようなお得なキャンペーンでは来店客が増えるということは想定していましたが、予想を大きく上回る来店があり、ご迷惑をおかけしてしまいました」

――実際に、どれくらいの反響があったのでしょうか。対昨年比などの来客数がわかればお教えください。

広報担当者「具体的な数字は公表していないので、昨年比の来客数はお教えできませんが、一昨年比の昨年の増加率よりも、昨年比の今年の増加率のほうが大きくなっています」

――多くの来店客を予想していたとのことですが、どのような対策を取っていたのでしょうか。

広報担当者「キャンペーン期間中は4商品のみの販売で、シェアデリバリーの取り扱いもやめていました。また、一部の店舗ですが、店内で飲食される方とテイクアウトされる方のレジを分ける対応を取り、会計時にお客様をお待たせしない工夫もしていました」

――100円割引券が使えない、という声も散見されましたが、トラブルなどは起きていないのでしょうか。

広報担当者「以前から、年末感謝祭のようなお得なキャンペーンの際には100円割引券が使えないようになっています。感謝祭の告知HPなどにも記載していたので、特に店頭で『なんで使えないんだ』といった苦情が出るといったトラブルが起きたとの報告はありません。例えば、常連様からSNSなどで割引券の使い方などについて、初心者向けにアナウンスする、といった書き込みがあったことは認識しております」

――来年以降、さらに来店客が増えることも想定されますが、どのような対策を検討されていますか。

広報担当者「ご来店いただくお客様が年々増え、かつやへの期待が高まっていることを感じています。かつやを楽しみにしてくださっているお客様の利便性を高め、快適にご利用いただくための施策を検討していきます。たとえば、今年、一部の店舗で行っていた、店内で飲食される方とテイクアウトされる方のレジを分ける施策を検証し、他店舗に拡大させていくことも検討しています」

　最大352円の割引ということもあり、とんかつファンには垂涎の的となるかつやの年末感謝祭。行列に並んでまで食べたい客がいるという状況が、来年以降のさらなる混雑を招く可能性もある。混雑を緩和する秘策が生み出されるのか、注目したい。
（文＝Business Journal編集部）