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変調来す日産の内幕、なぜ一人負け?「ゴーン・ショック」でくすぶるルノーとの提携解消

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変調来す日産の内幕、なぜ一人負け?「ゴーン・ショック」でくすぶるルノーとの提携解消の画像1日産自動車グローバル本社(「Wikipedia」より/Wiiii)
 カルロス・ゴーン氏が日産自動車の本社(横浜市西区)にいるのは「月に1週間くらい」である。仏ルノーの社長兼CEO(最高経営責任者)、日産の社長兼CEOに加え、2013年6月からはロシアの自動車最大手、アフトワズの会長に就任したためであり、ビジネスジェットで世界中を飛び回る日々を送っている。

 日産・ルノー連合の戦線はさらに拡大している。13年9月、フランクフルトの自動車ショーに、ゴーン氏はダイムラーCEO兼メルセデス・ベンツ会長のディーター・ツェッチェ氏とともに出席。「両社のパートナーシップは急速に進展しており、協業の範囲がますますグローバルになってきている」と胸を張った。日産、ルノー、ダイムラーのパートナーシップは10年4月に締結し、欧州における共同事業としてスタートした。現在は北米や日本で10の重要プロジェクトが進行中という。

 ゴーン氏は13年11月12日には日産メキシコ工場の開所式に出席した。同社は16年までに同工場の生産能力を日本に匹敵する年間100万台規模に引き上げる方針だが、14年にはブラジル工場(同20万台)、タイ工場(同15万台)などを次々と稼動させる。

●中国でねじれる、日産・ルノー連合

 同年12月にはゴーン氏は中国に飛んだ。ルノーと中国の国有自動車大手、東風汽車集団(湖北省)は12月16日、中国での合弁会社、東風ルノー汽車(資本金:47億600万元<約800億円>)設立で正式に合意した。77億5560万元(1300億円)を投じ、年15万台の生産能力を持つ完成車工場を立ち上げ、16年から量産を始める。多目的スポーツ車(SUV)などを投入し、世界最大の市場である中国でルノーは巻き返しを図る。

 ルノーは1990年代初頭に別の中国国有企業と合弁会社を設立したが、販売不振で現地生産を断念。現在は年3万台程度のルノー車を輸出して販売しているだけだ。

 一方、日産は03年から東風汽車と乗用車合弁会社を展開しており、中国の乗用車市場では独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)の合弁会社に次いで日本勢トップの4位グループを形成している。

 中国市場で決定的に出遅れたルノーが同国市場に参入するということは、日産にとって決してプラスにはならない。日産はすでに東風との合弁会社で生産や部品調達を担当している社員を、競合他社である東風ルノーに派遣させられているからだ。

 東風汽車集団は日産、ルノー以外にも本田技研工業(ホンダ)や韓国・起亜自動車とも合弁会社を持っている。本国フランスでルノーの最大のライバルであるプジョーシトロエングループ(PSA)とも合弁提携しており、東風はPSAに資本参加する方向で交渉中だ。

 PSAのトップには、ルノー時代にゴーン氏の右腕でCOO(最高執行責任者)を務めたカルロス・タバレス氏が今年就任する。テストドライバーとしてルノーに入社し、COOまで上り詰めたタバレスは、ルノー本社を留守にすることが多いゴーンに不満を募らせていた。自身の権限拡大を要求したが、ゴーン氏がこれを拒否し、2人の対立が決定的になった。「自動車産業に熱意を持つ者なら、いずれナンバー1になりたいと考えるのが普通だ」とタバレス氏は米メディアの取材で発言。激怒したゴーンは13年8月29日、タバレスを解任しCOOの職位を廃止した。

 PSAは三菱自動車と提携してロシアに合弁の拠点を持つほか、電気自動車(EV)を三菱自からOEM(相手先ブランドの生産)で調達している。そのため、ゴーン氏とタバレス氏は中国やロシアで全面対決することになり、EVでも競合することになる。

BusinessJournal編集部

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