セブン-イレブン不振が鮮明、「パッケージ詐欺」で消費者を欺いた報いが出現?

かつてセブン-イレブンで販売されていたサンドイッチ(2020年撮影)

 セブン-イレブンの業績不振が鮮明になりつつある。競合するローソンとファミリーマートは2024年3~8月期、前年同期比で増益となった一方、セブン&アイ・ホールディングス(HD)のコンビニ事業は国内・海外そろって減収になったとみられる。24年6~8月度の既存店売上高も、ファミマとローソンが前年同月比増加となったのに対し、セブンは減少。じわりと始まったセブンの不調の背景には、これまで「パッケージ詐欺」などと指摘されてきた食品類などの“容器底上げ”や誤認させかねない塗装など、消費者への不誠実な姿勢が影響しているのではないかという声も広まっている。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けているセブン&アイHD。事実上の買収防衛策として、GMS(総合スーパー)・イトーヨーカ堂や食品スーパー・ヨークベニマルをはじめとする非中核事業を連結子会社から外す方針を固め、ヨーカ堂のネットスーパー事業からの撤退も決めるなど、経営的に大きく揺れている。

「よくスーパー事業がセブン&アイ・グループにとって重荷になっているといわれるが、たとえばセブン‐イレブンで売られるプライベートブランド(PB)の食品にはヨークベニマルのノウハウが投入されていたり、同社の事業オペレーションのノウハウがグループ会社に活用されていたりと、意外にスーパー事業はセブン&アイ・グループ全体にとって重要な役割を担っている。セブン&アイはヨーカ堂とヨークベニマルを別の中間持ち株会社に移して、出資比率と関与の度合いを下げる方針を示しているが、長期的にみればセブン-イレブンの弱体化につながる可能性もある。また、セブン&アイは新たな成長領域としてコンビニとスーパーの中間的な位置づけであるミニスーパーのSIPストアに注力していく方針だったが、ヨーカ堂とヨークベニマルへの関与が薄まることで、大きな方針転換を余儀なくされて先行きが不透明になるかもしれない」(小売チェーン関係者)

予測していなかった事態が進行か

 セブン&アイHDの業績はさえない。24年3~8月期の連結決算は純利益が前年同期比35%減の522億円となり、今月には25年2月期通期は純利益が前期比27%減の1630億円になる見通しだと発表。減益の主な要因は海外コンビニ事業の不振であり、3割の減益となる見通しで、約440店を閉鎖することも発表。また、国内コンビニ事業も4%の減益見通しとなっている。

「今年度のセブン&アイHDの純利益はもともと前期比30%増の予想であり、それが一転して27%減となるというのは少し異常。同社のなかでは予測していなかった事態が進行しているとみて間違いない。国内セブン-イレブン事業では売上減への対策として、手頃な価格の『うれしい値!』商品の拡充などを急ぐなどいろいろと手を売っているが、このまま既存店の売上減が続けば通期で4%の減益では済まないかもしれない」(同)

過去の“負の歴史”

 そんなセブン-イレブンの不調を受け一部SNS上では、過去の“負の歴史”が今、改めて掘り起こされている。

 セブンは2020年頃からたびたび「容器の底上げ」が話題となってきた。お弁当やパスタ、麺類などで底の一部が大きく盛り上がっている容器が使われていることに批判が続出。サンドイッチなどで陳列時にお客から見える前面に具材を寄せる「ハリボテ」が話題になったことも。21年の当サイト記事の検証では、確かにハムとレタスのサンドでは前方に片寄せされていたが、ファミリーマートとローソンの同類商品でも同様の事象が見られ、セブンのたまごサンドは全面にぎっしり具が詰められており、他社よりもお得感が強かった。ちなみにセブンのサンドイッチをめぐっては、22年末から23年初めにかけて「ツナサンドにツナが入っていない」という報告がSNS上で相次いだが、23年2月の当サイト記事の検証では、確かにツナの量が著しく少ないことが確認されている。

 物議を醸したのが21年に販売されていた「練乳いちごミルク」だ。セブンはTwitter(現X)公式アカウントで「プルプル食感のタピオカと、ゴロッとしたいちご果肉のW食感が楽しめます」とPRしていたが、透明なプラスチック製のカップには帯状に「いちご」の果肉ピューレを表現する赤色の塗装が施され、さらにカップ底部にも果肉が沈殿しているかのような塗装がなされていた。これに「カップ詐欺」「優良誤認」だとの声が多数寄せられた。同類の事例としては、20年に発売された「sonnaバナナミルク」が、透明の容器の一部にバナナのピューレを視認させるかのようなプリントが施され、さまざまな指摘がなされたこともあった。

 このほか23年には、「おにぎり」で実際には海苔は使用されていないにもかかわらず、パッケージに海苔の絵柄がプリントされており、海苔が入っていると誤解して購入してしまったという報告がSNS上に相次いだ。

 そのため、現在の業績低迷を受けて以下のような声があがっている。

<ファミマが40%増量とか太っ腹なことやってる中 セブンは海苔柄パッケージとか たっぷりペイントとか トリックアート部署大活躍なんだもん>

<セブンが上げ底するなか、他社はバカ盛してる>

<客を馬鹿にしてれば、セブンの利用客が減るに決まってる>

<値上げして実質0.7人前くらいのペラペラ弁当にするのを繰り返してたらこうなるよ>

<消費者を騙す大喜利大会みたいになってたし 今更【うれしい値】とかやっても、失ったモノは取り戻せない>

<こうやって積み上げてきた「もうセブンイレブンは使わない」と決めた人たちの行動が今回の数字に出たなら、先は長くないなぁ>

<セブン苦戦ってそりゃそうだ 量減らしと値上げを何年も続けてきたんだから>

<底上げ弁当とか客を舐めすぎだし「セブンは高い、せこい」ってイメージを払拭ないとお客は戻って来ません>

上げ底容器が生まれた背景

 コンビニチェーン関係者はいう。

「容器の上げ底やスカスカ状態になる件については、同じ業界の人間としては少しセブンに同情してしまう面もあります。近年は社会のプラスティックごみ削減の機運を受けて、小売各社は容器を薄くする努力を進めており、強度を保つために一部が曲がって盛り上がる形状にしていることがあります。電子レンジで加熱時に中身全体にまんべんなく熱が通りやすくする目的で、そのような形状になっている場合もあります。また、容器は商品一つひとつごとにつくるわけではなく、複数の商品で共通の形状の容器を使うため、商品によっては大きな空間が生じてしまったりするケースはどうしても出てきます。容器の共通化はコスト削減や廃棄量削減の目的もあり、価格が低く抑えられるという消費者側のメリットもあります」

 では、セブン不調の原因はなんなのか。

「食品類に関していえば、ファミマとローソンと比較してセブンは価格が高めで量が少なめというのは事実でしょう。その分、セブンは品質にこだわってはいるものの、そこまで品質は高くなくてもよいので安くてボリュームが多いほうがいいという消費者は少なくないです。また、セブンはこれまで徐々に値上げを進めてきましたが、消費者の実質賃金はここ何年も減少が続いており、懐事情が厳しくなるなかで絶対額としての価格をよりいっそうシビアに考慮するようになり、『さすがにセブンの価格には、もうついていけない』という人が増えたのかもしれません。

『セブン=高い』というイメージがここまで広まってしまうと、客足が回復するまでは一定の時間を要するとは思いますが、今、セブンの店舗に行くとわかりますが『うれしい値!』の商品をはじめ明らかに手頃な価格の商品が増えており、それが認知されるようになれば、徐々に既存店売上高も回復してくるのではないでしょうか。データに基づく緻密な戦略展開が得意なセブンのことなので、先を見据えて手堅く各種対策を繰り出してくると思います」

(文=Business Journal編集部)

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