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シャープ、経営再建に向け、今年「正念場」~綱渡り続く資金繰り、カギ握るIGZO苦戦…

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 さらに3月末に300億円、9月末に1000億円の社債の償還が迫っている。今回の公募増資で調達した資金は全額設備投資に回すとしており、社債償還の原資に充てることはできないため、本業で稼ぐことが強く求められている。今後3年間に調達した資金のうち500億円を主力の液晶事業に投資し、利益率の高いスマホやタブレット端末などで需要が急増している中小型液晶パネルで稼ぐ算段だが、IGZOが大きな果実をもたらすには時間がかかりそうだ。

 米アップルはシャープから調達していた液晶パネルの発注先を韓国LGディスプレイに切り替えるなど、この分野で勝ち続けるのは容易ではない。頼みの綱のIGZO搭載スマホは12年後半にはヒットしたが、NTTドコモがソニーとサムスン製スマホを重点的に販売するツートップ戦略を取ったことから逆風にさらされ、結局シェアを落とした。

●迷走するスポンサー探し

 シャープは13年12月10日、米ヒューレット・パッカード(HP)に複写機をOEM(相手先ブランドによる生産)供給することで合意した。「液晶のシャープ」にとって複写機事業はいわば傍流だが、国内外に有力顧客を抱え、毎年200億円前後の営業利益を稼ぎ出している。複写機事業はシャープにとって重要な収益源なのである。センサーなど電子部品を数多く組み合わせてつくる複写機は高い技術力が求められ、日本のメーカーが強みを発揮できる分野だ。

 複写機の技術者出身の高橋氏が、シャープ再建の切り札の一枚と考えていたのが複写機事業であり、13年夏に韓国サムスン電子と複写機の合弁事業を模索した。具体的にはシャープが複写機事業を本体から分離し、サムスンから1000億円規模の出資を得て、財務の改善を図る予定だった。しかし、技術流出を恐れた社内や同業他社、さらには経済産業省から反対され、サムスンとの交渉を打ち切った。HPとの提携はOEMに限定することで技術流出の可能性を排除したと、シャープは説明している。

 サムスンとの合弁会社設立計画が頓挫したため、1000億円の資金調達の道は断たれたシャープは、LIXILら国内3社への第三者割当増資と公募増資を実施したのだ。

 クアルコム、鴻海精密工業、サムスン電子(日本)とスポンサー企業をめぐって迷走を続けるシャープは、最終的にはどこに向かうのか。「液晶のシャープ」の看板は下ろせないが、儲からなければ事業を次々と売却する可能性もある。今はシャープブランドの最終製品をつくっているが、IGZOをパーツとして供給する電子部品メーカーに特化する可能性もゼロではないという声も聞こえてくる。

 再建に向け今年、正念場を迎えるシャープ。その動向から目が離せない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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