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長い資料が一瞬で数分の動画に…NotebookLMの新機能で情報共有が変わる!

2025.09.19 2025.09.19 00:08 企業

 

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Google Updateより

●この記事のポイント
・GoogleのNotebookLMに日本語対応の新機能「Video Overviews」が登場し、長文資料を数分の解説動画に自動変換できるようになった。
・実際に試すと「つかみ」から入る自然な構成や聞きやすいナレーションが特徴で、外注並みの質を短時間で実現できた。
・教育やビジネス、行政など幅広い分野で活用が期待され、情報の伝え方を根本から変える可能性を持つと専門家は語る。

 2025年、GoogleのAIノートアプリ「NotebookLM」に日本語版の新機能「Video Overviews(ビデオ・オーバービューズ)」が追加され、注目を浴びている。

 膨大なレポートや複雑な資料を数分の動画にまとめ、日本語のナレーション付きで解説してくれる。まるで経験豊富なプレゼンターが資料を紹介してくれるような体験が、ワンクリックで実現するのだ。

 今回は、システムエンジニアの伊藤朝輝氏に、この新機能を実際に試した感想や活用の可能性について話を聞いた。

●目次

NotebookLMとは何か

 まずNotebookLMについて整理しておきたい。

 NotebookLMはGoogleが提供するAIベースのノートアプリである。ユーザーがPDFやドキュメントをアップロードすると、その内容をAIが理解・整理し、要約や質問応答、洞察の提示といったサポートを行う。

「AIを自分専用のリサーチアシスタントとして使う」イメージに近い。従来のAIチャットと異なり、アップロードした資料に特化して答えてくれる点が特徴だ。

 今回、そのNotebookLMに加わったのが「Video Overviews」である。

「Video Overviews」でできること

 伊藤氏はこの機能を次のように説明する。

「NotebookLMにアップロードした資料をもとに、AIが自動で解説動画を作ってくれます。単なる要約ではなく、スライドを整理し、日本語ナレーションを加えて、見て理解できる形式に変換してくれるんです」

 長いレポートを「読む」のではなく「見る・聞く」で理解できるのが大きな利点といえる。

 また動画だけでなく、音声解説やマインドマップといったアウトプットも選択可能だ。読む・聴く・全体構造で把握する――複数のアプローチを使い分けられる点で、従来のAI要約よりも応用範囲が広がっている。

実際に使ってみたらどうだったのか

 伊藤氏は厚生労働省の約40ページにおよぶPDFをアップロードし、Video Overviewsを試した。結果は以下のとおりだ。

 ・生成時間:約10分
 ・出力された動画:約8分

「驚いたのは、資料をただ順番にスライド化するのではなく、冒頭で“つかみ”を入れてから、重点部分を掘り下げていたことです。まるで人間が“ここを押さえておけば大丈夫”と意識して構成したような自然な流れでした」

 特筆すべきはナレーションである。

「単調さがなく、抑揚や間の取り方が自然で、まるで経験豊富なプレゼンターがフランクに話しかけてくる印象でした。一般的な解説用途なら、この親しみやすさはむしろプラスだと思います」

 外注でナレーションを依頼するとコストも時間もかかるが、AIが即座に提供できる点は大きな進化といえる。

解説動画のニーズと具体的な活用シーン

 この機能はどのような場面で役立つのか。伊藤氏は大きく3つの分野を挙げる。

1. 教育分野
講義ノートを解説動画にして、学生が授業前に予習できる。授業の効率化や学習の理解促進につながる。

2. ビジネス分野
会議資料や調査レポートを短い動画にまとめ、チームで共有する。会議時間の短縮や意思決定のスピードアップが期待できる。

3. 行政・医療分野
膨大なガイドラインや健康指針を市民に分かりやすく伝える。文字情報だけでは理解しづらい内容を「見て聞ける」形式に変換できる。

多様なアウトプット形式がもたらす利便性

 動画だけでなく、音声解説やマインドマップも生成できる点も評価が高い。

「同じ資料から、映像で直感的に理解する、音声で移動中に聴く、マインドマップで全体を俯瞰する、といった使い分けが可能です。これまで外注しなければ難しかった多様な表現形式を、社内で即座に内製できるのは大きな変化です」

 特にマインドマップは、レポート全体の構造をひと目で把握できるため、概要確認やプレゼン準備での論点整理に役立つ。

ビジネスパーソンにとってのメリット

 ビジネスの現場において「スピードとコスト」は常に課題である。Video Overviewsはその両方を解決する可能性を秘めている。

 ・時間短縮:数週間かけて外注していた動画コンテンツが、その日のうちに完成
 ・コスト削減:ナレーションや動画編集を外部に依頼する必要が減少
 ・知識共有の多様化:動画・音声・マインドマップという複数の入口を用意

 情報をより多くの人に、より早く、よりわかりやすく届けられるようになる。

今後の進化に期待されるポイント

 現状でも十分に実用的だが、伊藤氏はさらなる進化の余地があると指摘する。

 ・ナレーションのトーン(フォーマル/カジュアル)の選択
 ・スライドデザインのバリエーション拡充
 ・重点的に解説してほしい部分を柔軟に指定できる機能の強化

 これらが実装されれば、教育・ビジネス・公共の場での活用範囲はさらに広がるだろう。

 NotebookLMの「Video Overviews」は、単なるAI要約の枠を超え、情報を「どう伝えるか」という次元に踏み込んだ機能だ。

 伊藤氏は次のように結ぶ。

「外注で数週間かかっていた解説コンテンツを、社内でその日のうちに動画・音声・マインドマップといった形で生成できる。これは新しい知識共有ツールと言えるでしょう。教育からビジネス、行政まで、情報の伝え方を根本から変えるポテンシャルを感じます」

 忙しいビジネスパーソンにとって、長文資料を読む時間を削減し、理解を加速させる「解説動画生成AI」。その存在感は今後ますます大きくなっていくはずだ。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=伊藤朝輝/システムエンジニア、ライター)

伊藤朝輝/ライター/SE

伊藤朝輝/ライター/SE

SEとして働く傍ら、1995年ごろから雑誌や書籍で執筆活動を始めた。デビューの記事は「Windows 98リアルモード徹底活用テクニック」。最近はアップル製品に関する記事を書くことが多い。「アップル製品に使うお金はアップル製品で稼ぐ」がモットー。

X:@_akibyon