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日本の半導体メーカーから、外資系に転じた技術者は少なくない。そのこともあって、韓国勢は大きく躍進した。これを受けて、00年代前半までは「国賊」と揶揄する声も多かった。当時を知る日立製作所のOBは、
「当時は日本の半導体業界にまだ競争力があった。だからこそ、敵陣営に移るなどとんでもないという考えになった。今は互角に勝負できる体力がないからね」
と嘆く。
現在、日本の半導体業界では、スマートフォンなどに組み込まれる東芝のNANDや、デジタルカメラなどに使うソニーのイメージセンサー、省電力効果がある三菱電機のパワー半導体を除き、世界と渡り合える事業はほとんどない。
80年代末、半導体業界で覇権を握ったNEC、日立製作所は不採算の半導体事業を切り離した。名前を変えて生き残ったエルピーダ、ルネサスは長いトンネルに入り込み、破たんやその一歩手前まで追い込まれている。いずれも現時点で、再浮上の具体的なプランは見えてこない。日本からの技術者の流出を嘆く声もあるが、雇用を保障してくれる会社がなくなりかねないのが現在の日本の現実だ。
エルピーダ、ルネサスの苦境は、技術者が、自らのスキルを武器に世界で生き残らなければならない時代であることを、あらためて示している。
(文=江田晃一/経済ジャーナリスト)
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