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コーヒー豆、脱ブルマン偏重の兆し? 深刻な不作が業者に打撃、他品種普及への動き加速か 

文=秋山謙一郎/ジャーナリスト

 今、国内コーヒー業界は、高級ブランド豆であるブルーマウンテンの品薄に頭を抱えている。産地のジャマイカで、2012年に発生したハリケーン・サンディによる被害と、さび病という病害の流行により、採取量が激減したためだ。業界関係者によると「(ブルーマウンテンの)採取量が元に戻るには、最低でも3~4年はかかる」といい、国内コーヒー業界全体への影響はしばらく続く見込みだ。そのため国内コーヒーメーカー各社は、ブルーマウンテンに代わる新規の推奨商品の打ち出しに躍起となっている。

 今回は、ブルーマウンテン不作に揺れる国内コーヒー業界の動向を追った。

 そもそもブルーマウンテンとは、ジャマイカのブルーマウンテン山脈の標高800~1200mという限られた地域で栽培されたコーヒー豆を指す。日本への初輸入は1936年。当時、ジャマイカは英国領であったことから、国内での売り出しの際、「恐らく英国王室も愛飲しているだろう」と“英国王室御用達”のキャッチコピーをつけて売り出した。これが日本における「ブルーマウンテン神話」の始まりとされている。ブルーマウンテンの特徴とされる「香り高く、まろやかな口当たり、芳醇な味わい」が日本人受けしたことも大きいだろう。

 以来、国内の各コーヒーメーカーでは、ブルーマウンテンを主力商品として推奨する販売戦略が取られてきた。しかも、モカやキリマンジャロといった他のコーヒー豆ブランドに比して、ブルーマウンテンは高い価格設定となっている。

 あるコーヒー販売店におけるコーヒー豆各種の価格設定をみてみると、コロンビアスプレモ(コロンビア産)、ブラジルサントス(ブラジル産)が100g当たり400円で、キリマンジャロも同400円だ。モカは少し上がって同550円。これに対してブルーマウンテンは同1000円と、極めて高い価格で販売されている。

 7月、UCC上島珈琲は、9月からブルーマウンテンを用いた家庭用製品の販売価格を約4割値上げすると発表した。しかし、値上げしても「販売できるだけ、まだまし」と言う業界関係者も少なくない。

「米に、古米・古古米と在庫があるように、コーヒー豆も各社在庫がある。大手なら、その量も多いだろう。しかし在庫が尽きたコーヒー業者は、採算性の高いブルーマウンテンを販売したくてもできないのだ。お客の中には『ブルーマウンテンしか飲まない』という人も少なくない。そうしたお客が、うちから離れていく可能性がある。それが心配だ」と、あるコーヒー販売業者は頭を悩ませる。

●代替商品普及の機会になるか?

 ブルーマウンテンの販売をしばらく休止するコーヒー業者では、ブルーマウンテンとよく似た味のコーヒー豆を推奨するなどして、採取量が戻る3~4年後までしのぐことになる。

 では、ブルーマウンテンに似た味のコーヒー豆には、どんなものがあるのだろうか?

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