公開中のジブリアニメ『思い出のマーニー』(東宝)が、仰天の宣伝戦略を展開していたことがわかった。宣伝担当者などに、レズ映画を参考にするようにとの指令が出ていたというのだ。ヒットメーカーの宮崎駿監督の引退に続き、解体報道も飛び出すなど、転換期を迎えているスタジオジブリ。新作映画PRで飛び出した“ウルトラC”が意味するものは……。
7月から全国で封切られたアニメ映画『思い出のマーニー』。
『となりのトトロ』や『もののけ姫』など、数々のヒット作を生み出した宮崎駿監督率いるアニメ制作会社スタジオジブリの新作で、公開4週目までの興行収入は26億円を突破。今夏の公開映画としては、まずまずの成功を収めている。
「主人公の少女・杏奈と、療養先で出会った白人少女マーニーとの交流を描いた物語。イギリス児童文学の古典的名作が原作で、ジブリの二枚看板である宮崎駿と高畑勲の両氏が制作に一切かかわっていない最初の作品ということで話題を集めた」(映画会社関係者)
ジブリにとっては、会社の今後を占う重要な作品。ヒットを狙って宣伝にも相当力が入っていたようだ。公開直前、鈴木敏夫プロデューサーから宣伝部に下った、ある指令からも、その力の入れようがうかがえる。
「宣伝部に所属する社員全員に『映画宣伝の参考にするように』ということで、あるフランス映画を見るように通達がありました」(ジブリ関係者)
関係者によると、その映画とは昨年10月に日本で劇場公開された『アデル、ブルーは熱い色』(コムストック・グループ)。同年のカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した恋愛映画だ。
主人公の少女アデルと美しい美学生、エマとの純愛を描いた同作だが、物語とともに2人の女優によるラブシーンが話題を呼んだ。
「いわばレズ映画。鈴木プロデューサーの狙いはどうも、マーニーにそのエッセンスを盛り込もうというものだったようです。われわれもトップの意向に沿うかたちで、ちょっとレズっぽい雰囲気を醸し出すように宣伝広告を打ちました」(同)
実際、『マーニー』の宣伝素材には、そうしたレズ的な要素が随所に織り込まれている。
宣伝用ポスターや公式ホームページで使われているメインコピーは「あなたのことが大すき。」。
予告映像の中では、主人公の杏奈がマーニーに抱き寄せられて頬を赤らめたり手を握り合うなど、恋人関係を思わせるような意味深な場面の数々が公開されている。
ただ実際は、マーニーの正体は杏奈の祖母で、少女姿のマーニーは杏奈の空想だったというのが作品の落ち。レズっぽい雰囲気を出したのは、ラストの意外性をより強調するための巧妙な演出だったようだ。
仕掛けはこれだけではない。
「公開前後には宮崎駿監督の引退とジブリの解体報道が出たが、一部では『これも話題づくりのためのヤラセじゃないか』という声も上がっている」(業界関係者)
使えるものはなんでも使う。商魂たくましいとはこのことか……。
(文=編集部)