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2023.05.05 00:17
2014.09.26 00:03
鈴木貴博「経済を読む“目玉”」第22回
クーポン利用は「割に合う」のか?値引きか箱ティッシュ無料贈呈、どちらが集客効果高い?
実は筆者が今から30年前、新米経営コンサルタントとして一番最初に関わった案件は、ある外資系企業のティッシュペーパーの販売戦略だった。当時、新米の筆者を辛抱強く使ってくれたクライアントのボスは、私にこんなことを教えてくれた。
「日本は世界の中でもティッシュペーパーで儲けるのが一番難しい国なんだ。理由は、スーパーが利益度外視で集客のために安売りするからだよ」
当時は(おそらく今もそうだろうが)この会社からスーパーに卸した価格よりも、スーパーの店頭で売られるボックスティッシュの価格のほうが安かった。この背景にあるのは、なぜか体積の大きなものを安く売ると顧客が大量に集まってくるという、スーパーマーケットの現場が知っている法則である。この法則、経済合理的にはまったく正しいとは思えないのだが、行動経済学的には実際に正しいため、もう数十年来、どのスーパーも薬局もディスカウントストアも、同じことを繰り返しているのだ。昔は体積が大きかった洗剤の箱、現在ではミネラルウォーターの箱にも同じ効果がある。大きな箱を安く手にいれると、なぜか日本人はうれしいのである。
そして今、棚の奥からそのユニクロでもらったボックスティッシュを手にして、「いいものをもらったな」とひとりで薄ら笑いを浮かべる筆者を見て、もうひとりの自分がこう語りかける。
「クーポンで300円値引きするぐらいだったら、ボックスティッシュを3箱あげたほうが、よっぽどキャンペーンの費用対効果は高いはずだな」
どこか、このマーケティング戦術を本気で実践してみたい企業はいらっしゃらないだろうか?
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
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