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すき家のワンオペ批判や労働者優位の傾向は“正しい”のか?外国人に職を奪われる日?

文=岡田和典/経営コンサルタント・大学院客員教授
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 大企業リストラを敢行する中で、日本の「人手不足問題」を皆さんはどう感じるだろうか。筆者自身もツイッターですき家の情報を見ていた。確かにワンオペは大変だろうと思う。しかし、牛丼を280円という価格で提供し、事業を拡大するために出店攻勢をかけていた企業としては致し方ない点も多くあったのではないかと感じる。「昔はもっと働いた」と言っては元も子もないが、かつて「24時間働けますか?」というコピーがなんの抵抗もなく受け入れられた時代もあった。

 最近は労働者側の意見がますます強くなる傾向にあるが、リスクを取らずリターンのみを享受したいといった発想は危険な気がしてならない。少子高齢化が進み、このままいくと労働人口が減少の一途をたどり、国力にまで深刻な影響が及ぶのは避けては通れない。そのような中、「移民を受け入れるべきか?」「ロボットが日本の産業を救うか?」といった議論も盛んに行われている。日本の労働者も、今の環境に甘んじていては、いつか外国人やロボットに労働需要を奪われる可能性もあるのだ。

●求人と求職のミスマッチ

 08年に起きたリーマンショック後の景気悪化によって、09年7月に5.5%(季節調整値)まで上昇した日本の失業率は、今年7月には3.7%に低下した。日本においては、3%台半ばという失業率の水準は、需要の不足によって生じる失業がほぼ解消されたことを意味していると考えられている。そして、同月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍となり、1992年6月以来22年ぶりの高水準となった。

 不況で企業が求人を行うことができない場合、失業率は上昇するが、企業が求人を行っても一定の失業率は発生する。これは職を求める人材が希望する給与や仕事内容と、企業が提供する内容のミスマッチによって、就職を“しない(できない)”人が一定数出るためだ。一方、7月時点での有効求人倍率では、求職者数よりも求人数が多い状況となっており、人手不足が発生している状態といえる。もちろん有効求人倍率は、ハローワークの求人・求職の状況を示す統計であって、労働市場の正確な状況と言い切ることはできないが、前述したすき家の状況や、子会社を含めた筆者のクライアント企業の状況を考えても、ある程度どの市場においても似たような状況が発生しているのではないだろうか。

 さらに求人の数字を細かく見てみると、「事務的職業」の有効求人倍率は1を切っている。つまり、一般的にホワイトカラーと呼ばれる職業については求人が不足しており、人手不足という状態ではないのだ。しかし「専門的・技術的職業」「サービスの職業」「建築・採掘の職業」は倍率が1.0を上回っている。つまり、多くの人は事務的職業を望んでいるが、企業側は専門的な知識を持った人や、サービス業、建築業で働ける人材を求めているのだ。サービス業である牛丼チェーンが、アルバイト代に時給1400円を出しても人が集まらないというのは、このような求人・求職における需要のすれ違いから発生していると言えるのではないだろうか。

 世界に目を向けてみると、13年時点で主な国の失業率はスペイン(26.4%)、イタリア(12.2%)、フランス(10.8%)、フィンランド(8.1%)、イギリス(7.6%)、アメリカ(7.3%)、ドイツ(5.2%)で、特に若者の失業率はスペインやギリシャでは60%近く、イタリアも40%に迫り、フランスも26%という高い数値となっている。

すき家のワンオペ批判や労働者優位の傾向は“正しい”のか?外国人に職を奪われる日?の画像2※2013年3月(ILOの定義に基づく)

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