こういった現状を踏まえてみると、他の国に比べ日本は恵まれた労働環境なのだと感じてしまう。世界を見渡せば、低賃金でも働きたいと思う人材がいるのではないだろうか。日本は島国のため、海外の人が自分たちの職を脅かすという意識が弱く、経済的鎖国状態といわれることも多い。しかし、今後グローバル化・ボーダーレス化が進み、日本が規制緩和を進めた場合、この状況は一転するだろう。企業側としても同じ賃金を払うなら、能動的にやる気を持って働ける人に働いてほしいと思うものだ。もともと、労働環境が良くない国で働いていれば、日本の労働環境は心地よいと感じるのではないか。最近筆者が行っている研修でも、海外の受講生が確実に増えている。どの受講生も日本語を使いこなし、研修内容を身に付けようと積極的に取り組む様子が印象的だ。企業の強みを議論するグループワークでは、日本の手厚い研修制度を挙げる人も多い。
今まで経験したことのない環境の中で、どの階層であっても、世界レベルで戦うスキルを求められる時代が目前に迫っている。そのためには、与えられた責務に真摯に向き合い、やらされ感なく目の前の仕事から何かを学ぶといった貪欲さと、それによって相手になんらかの価値を与えるといった心構えが必要になるだろう。
(文=岡田和典/経営コンサルタント・大学院客員教授)
※本稿は、岡田和典氏のメルマガ「最新事例に学ぶ事業価値創造のキーファクター – 岡田流ビジネスマインド養成講座 -」から抜粋したコンテンツです。
【筆者プロフィール】●岡田 和典:三菱商事、外資系コンサルティングを経て1998年プライスウォーターハウスクーパースコンサルティング入社。消費財メーカー、卸売企業、小売業において、営業、物流、間接部門の業務改革に従事し、個々の企業にとどまらず、サプライチェーン企業間の変革、戦略立案等に数多くの実績を残す。現在、岡田ビジネスディベロップメンツ代表取締役としてさまざまなプロジェクトや新規事業に参画。また複数の企業経営を代表として行う。金沢工業大学大学院にて「コンサルティング実践特論」の客員教授として教鞭をとる。
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