それでは、こうした「ブス・ブス・美人」テクニックやセールストークに惑わされずに物件を選ぶには、どうすればいいのでしょうか?
そのためには、自分の希望等をはっきりとさせておくことです。具体的には、
・メモに書き出すなど、自分の希望条件をきちんと整理する
・整理した希望条件に、はっきりと優先順位を付ける
・優先順位に従って、妥協できるところとできないところを決める
・市場の下調べはしておく
という準備をしておくしかありません。たったこれだけの準備でも、ずいぶん違ってきます。
筆者の経験上でも、特に、部屋を探す時間があまりない、希望がはっきりしていない、というお客は、「ブス・ブス・美人」の案内方法をすると、ほぼ「美人」物件に決まります。
●自動車で案内された場合の注意点
2つ目のテクニックです。不動産会社である程度希望を伝えた後、実際の物件まで自動車で案内されることがよくあります。自動車での案内は珍しいことでもないので、なんの疑いもなく自動車に乗り込む方も多いでしょう。
もちろん、訪れた不動産会社から物件まで遠いことがありますし、自動車で案内してもらうこと自体に問題はありません。
しかし、ここで気を付けるべきことが2つあります。
一つは、どんなに気に入った物件があっても、自動車で何件か案内されて不動産会社に戻ってきて、すぐに申し込みをするのは避けるべきです。次に、気になった物件があったら、必ず駅から物件まで一度は歩いて確認することです。
なぜならば、自動車で案内されると、見えなくなってしまっていることがあるからです。
例えば、「実際に自分の足で歩くと、駅から何分かかるのか」「駅から物件までに急な坂や暗い道などはないか」「駅から近くても、物件の周辺に入居後たえられなくなるような要素はないか」などは、実際に歩いてみないとわかりません。
営業担当者はそうしたことを知っていて、あえて自動車で案内して見えなくしている場合もあるのです。一度賃貸契約を結んでしまうと解約金が必要になるなど、場合によっては、我慢してしばらくそこに住まなければならなくなるかもしれません。
「すぐに契約しないと、誰かに先を越される」「今なら手付金を安くできる」などのセールストークで契約を急がせる営業担当者もいますが、自分の生活の拠点となる住居のことですから、このようなトークに惑わされずに、自分の目と足で最低限は確認してから最終判断をするようにしたほうがいいでしょう。
(文=秋津智幸/不動産コンサルタント)