なぜ日本人は“異常に”お金を使わない?ひたすら貯蓄するワケ データと感情面より考察
少し前になりますが、2月16日付日本経済新聞Web刊記事が次のような内容を報じました。
「医師や弁護士、自営業者らを対象とする公的年金制度の国民年金基金は、4月以降に新規に加入する人の保険料を平均で7%程度引き上げる。加入者に約束する予定利回りは、いまの1.75%から1.5%に引き下げる」
「すでに加入している人の保険料や、年金をもらっている人の受給額は変わらない」
「予定利回りの引き下げは04年4月に3%から1.75%に引き下げて以来、10年ぶり。株高などで足元の運用環境が改善しているものの、過去に想定していた運用利回りを大きく下回ったことや高齢化の影響で財政状況は悪化している」
4月以降に国民年金へ加入する人にとっては、驚愕の内容であったはずです。しかし、加入者は約49万人と多くないためか、医師や弁護士などの高額所得者は年金など意識しないためなのか理由は不明ですが、あまり話題になりませんでした。
引き下げ幅が「0.25%」という小さい数字のためピンときにくいですが、複利計算は侮れません。例えば100万円を運用する場合、年利3%では30年後に236万円になりますが、1.5%では154万円にとどまります。10歳違うだけで払わなければならない金額は7%も上がるので、現役時代に吸い上げられる金額は上がり、老後にもらえる金額は相当割安になります。国民年金とは異なり任意加入なので不満ならば加入しなければよいとはいえ、当事者(必然的に若年層)にとっては釈然としないのが当然の感覚といえるでしょう。
●感じられない景気回復感
今年中盤からは景気減速や停滞という言葉が聞かれるようになりましたが、日本銀行が10月31日に決定した追加金融緩和もあり、新聞紙上では相変わらず日経平均株価の上昇になぞらえて景気回復の文字が躍り、一時的な景気減速の原因も政府見解では悪天候のせいとなっています。筆者は「アベノミクス」が注目され始めた12年末から、取材や自著『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社新書)の中で「景気は恐らく回復しない」と語ってきました。現在でもやはり、特に30代以下の方々と話していると、ほとんど景気回復感を感じません。