パーク24は昨年12月16日に行った14年10月期連結決算説明会の中で、カーシェア事業の営業損益が初めて1600万円の単年度黒字(前期は6億7000万円の赤字)となり、15年10月期は売上高が147億円、営業利益が5億円に拡大するとの見通しを明らかにした。
14年10月期の売上高は前期比60.3%増の103億9000万円だった。また、同期末の車両数は同43.3%増の1万61台、ステーション(カーシェア用駐車場)数は同31.2%増の5910カ所、会員数は同48.5%増の41万4965人だった。事業規模でオリックス自動車など業界2位以下と大差をつけ、交通インフラとしての体裁をいち早く整えたのが黒字転換の主因といえる。
同社カーシェア事業の急速な拡大と早期黒字化の裏では、意外な情報システムが稼働していた。
●30社前後参入するも、営業黒字はたった1社
わが国でカーシェアの商用サービスが始まったのは02年からだ。同年4月、オリックスがスズキ、日本電気など6社との共同出資で設立したシーイーブイシェアリング(現オリックス自動車)が嚆矢となった。
その後、06年にレンタカー事業が規制緩和されたのを機にレンタカー会社、駐車場運営会社、中古車販売会社、鉄道会社などが本業との相乗効果を狙ってカーシェア事業に参入。その勢いでサービス車両数1000台、会員数1万人を超えた10年頃からカーシェア市場が本格的に立ち上がった。
カーシェア普及に努めている「交通エコロジー・モビリティ財団」の14年1月現在の調査では、車両数は1万2373台(10年比9.8倍)、会員数46万5280人(同29.3倍)と、わずか4年で急速に業界全体の事業規模が拡大している。主要6カ国の国際比較で、日本は早くも車両数ベースで1位、会員数ベースで米国に次ぐ2位になっている。
だが冒頭で述べた通り、事業黒字化を達成しているのはパーク24のみ。「カーシェアがビジネスとして成立するのに、あと4~5年はかかる」との見方がカーシェア業界では一般的だ。