ディズニーR値上げ目的はぎゅうぎゅう詰め解消、効果ない?駐車料金3割値上げの意味
オリエンタルランドは、運営する「東京ディズニーランド(TDL)」「東京ディズニーシー(TDS)」の1日入場券に相当する「1デーパスポート」の料金について、4月から大人と中人(12~17歳)は500円、小人(4~11歳)は300円値上げすると発表した。昨年4月の消費増税に伴う値上げから1年しかたっていないにもかかわらずだ。今回の値上げにより大人の1デーパスポートは6900円となり、7000円台が目前。オリエンタルランドは昨年4月に発表した「2016中期経営計画」(15年3月期~17年3月期)で、テーマパーク事業に5000億円規模の新規投資を10年かけて行うと発表しており、2月2日付「日経ビジネスオンライン」記事『混んでいるのに値上げするディズニーリゾート』によれば、今回の値上げは今後増えていく投資の費用に充てられる見通しだという。
しかし、この記事タイトルは間違っている。「混んでいるのに値上げする」のではなく、「混んでいるから値上げする」のだ。
東京ディズニーリゾート(TDR)の来場者数は、開業翌年の1984年に1000万人を超え、2000年には約1700万人まで増加。01年にディズニーシーが開業し、翌02年には約2500万人。その後しばらく2500万人程度で頭打ちだったが、13年には約3130万人が来場している。
13年の例で見れば、365日開園しているので1日当たり約8万6000人の来場者。その10年前の03年では1日当たり約7万人なので、23%の伸びである。もともと混んでいたTDRが、さらに混んでいるのである。JR山手線や東海道線のロングシートが仮に10人掛けだとした場合、そこに12人座ることをイメージするとわかりやすいだろう。ぎゅうぎゅう詰めだ。
その結果、「日経ビジネス」記事によれば、「結局この日、5時間余りの滞在時間で乗れたアトラクションは2つだけ。あとはパレードを見て帰りました。これで1人6400円はあんまりです」という事態になっているのである。
●価格が高いか安いかを定義するもの
では、このような状況を緩和する策として何があるのか?
ひとつに、入場制限が挙げられる。13年は30周年記念ということもあり、TDRでは延べ40回近く入場制限がかけられている。もうひとつの策が、値上げだ。値上げをすることにより来場者数が減少すれば、混雑を緩和することができる。
10年以前の古いデータしかないのだが、来場者数における大人料金を支払うセグメントの割合は、だいたい70%程度。13年に当てはめて考えると、約2200万人である。なので、大人セグメントのチケット売上額は1408億円。6900円に値上げした場合、来場者数が2040万人へ減少しても同額の売り上げを確保できる。そして、来場者数が減少すれば、混雑を緩和できることになる。
このような混雑緩和を目的とした料金値上げや料金付加は珍しい話ではない。03年2月から英ロンドンでは、コンジェスチョン・チャージ(混雑課金)が行われている。ロンドン市内では渋滞が日常茶飯事となっており、その混雑緩和のために特定時間帯にロンドン中心部へ車を乗り入れる際は、課金が行われている。これにより渋滞は30%解消され、交通量は15%減少している。