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ジャパネットたかたの難局 元名物社長、新社長・長男の修羅場で早くも復帰観測も

文=編集部

 明氏は時代の動きに敏感だった。ビデオカメラ時代の到来とともにソニーショップとなり、カラオケブームが来るとパイオニアのカラオケセットを販売した。たまたま知人に依頼されて地元のNBC長崎放送のラジオショッピングに出演したところ、数カ月分の売り上げを1日で達成したことから、通信販売への進出を決意。90年3月に同局でラジオショッピング番組を始め、94年にテレビショッピングに進出した。当初はローカル番組だったが、各地のケーブルテレビに番組を持つようになると、知名度は全国区になった。

 テレビショッピングに進出した94年12月期の売上高は43億円。ケーブルテレビ局で放送される機会が増えるのに歩調を合わせて急成長を遂げ、10年12月期の売上高は過去最高の1759億円を達成した。住友商事の完全子会社(現在は米ファンドとの合弁)だったジュピターショップチャンネル、米通販大手と三井物産の合弁会社QVCジャパンとともに、テレビ通販の御三家と呼ばれるまでになった。

●経営危機

 しかし、その後、ジャパネットたかたは危機を迎える。売り上げの6割を占めていたテレビの販売が激減。地上デジタル放送に伴うテレビの買い替え特需の反動で、テレビの売り上げがピタリと止まった。10年のピーク時に月間200億円以上の売り上げがあった薄型テレビが、10億円程度しか売れない月もあった。カメラ機能を搭載したスマホに食われて、デジタルカメラやカーナビも苦戦した。11年12月期の売上高は1531億円、さらに12年同期には1170億円まで落ち込んだ。2年連続の大幅減収となり、創業以来最大の危機を迎えた。

 明氏が経営者として手腕を発揮したのはこの時だ。守りではなく、攻めに出た。掃除機や調理家電、ウォーキングシューズなど、これまで扱ってこなかった商材を積極的に取り入れ、12年8月には東京・港区に東京オフィスを開設して東京に本格進出した。東京を拠点にケーブルテレビやインターネット通販のテコ入れを行い、新聞折り込み、携帯電話向けサイトなども活用した。

 明氏が不退転の決意で臨んだ13年12月期は売上高は1423億円。経常利益は153億円で過去最高益を更新した。さらに14年同期の売上高は前期比8%増の1538億円、経常利益は13%増の174億円と最高益を達成した模様だ。

 明氏は設立30年に当たる2016年に社長を退くつもりだったが、業績がV字回復したことから、1年前倒しで長男にバトンタッチした。重責を担う旭人氏の前途は厳しい。通販市場の成長は続くが、牽引しているのはネット通販。かつての主力だったカタログ通販は元気がない。ジャパネットたかたは、ネット通販にどう立ち向かうのか。

 修羅場に直面すれば、百戦錬磨の明氏が復帰するとみる業界関係者は少なくない。規模の拡大と独立経営のバランスをどう取るのかという難しい経営課題に早晩、直面することは避けられないだろう。「明氏が創業者の業で、旭人社長のやり方に我慢できなくなる」(流通業界関係者)との見方も多い。
(文=編集部)

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