差別主義で訴訟続出…“高額”人気ブランド・アバクロの品性
しかし、そんなアバクロも、ついに日本への進出を果たす。バーゲンやアウトレットへの出店、値引きを行ってこなかった同社だが、09年ついに値引き販売を開始。世界的な景気低迷により売り上げが激減したからにほかならないが、上記のようなさまざまなトラブルが表沙汰になったことも、大いに関係しているだろう。しかし、値引きもむなしく同社の売り上げは加速度的に低下。新たにいくつもの姉妹ブランドを展開するも売り上げ低迷という惨状だが、まさにそのような状態で、日本への進出が行われた。
これまで毛嫌いしていた国々への進出は、背に腹は代えられないと言ったところであったのだろう。これと相前後して世界各国への展開を急速に推進。一方で米国内の店舗を次々と閉鎖し、最終的には1000店以上が閉鎖される予定となるなど、事業方針の大転換を強いられている最中だ。しかし、同社の姿勢はあまり変わりないようで、つい先日、姉妹ブランド「ホリスター」の従業員が、韓国において差別的な発言を繰り返したとして、同社が謝罪する羽目になっている。06年には中国人とおぼしきアジア人を卑下するかのようなデザインのTシャツを販売し、大きな批判を浴びたこともある。
そんな差別主義とも受け取られかねないアバクロ。今も日本国内での販売価格は、米国よりもはるかに高額に設定されたままである。
それでもあなたは、まだこのブランドを身に着けたいと思いますか?
(文=田中 秀憲/NYCOARA,Inc.代表)
●田中 秀憲(たなか・ひでのり):NYCOARA,Inc.代表
福岡県出身。日本国内で広告代理店勤務の後、99年に渡米独立。04年、リサーチ/マーケティング会社、NYCOARA, Inc.を設立。官庁/行政/調査機関/広告代理店などのクライアントを多く持ち、各種調査や資料分析などを中心に、企画立案まで幅広い業務をこなす傍ら、各メディアにて寄稿記事を連載中。小泉内閣時代には、インターネット上での詐欺行為に関するレポートを政府機関に提出後、内閣審議会用資料として採用され、竹中経済産業大臣発表資料の一部となった。