先日、人材エージェントの方と話す機会がありました。よくいわれているように、2020年の東京五輪に向けて、ゼネコンをはじめとする建設業界の採用が活況を呈しているそうです。同業界は、他業界とは異なり50代のベテランが人気です。その理由について筆者は「技術レベルが高いから」「バブルの時代も冬の時代も痛いほど味わったので、高い給料を求めたりしないから」などと考えていました。しかし、その人材エージェントの方の見解は「五輪が終わった頃から勝手に定年退職していくから」というものでした。
なんだか少し寂しい気分になってしまいましたが、これは、バブル崩壊後の長期不況を通じて、たとえ一時期は業績好調でもすぐに不振へ陥る可能性があり、それに備えておかなければならないという危機感を多くの企業が抱いているかを象徴しています。そこで本稿と次稿では、業績不振に陥るダメな会社によく見られる特徴を挙げていきたいと思います。
一言でダメな会社といっても、さまざまなパターンがあります。大きく分けると、経営管理がずさんになっているという創業社長が過剰に独裁色を出して君臨している中小企業にありがちなパターンと、逆に社内の取り決めなどが過剰なまでに細かくなっているという大企業にありがちなパターンがあります。まず、前者の中小企業において見られる共通点・特徴を挙げていきます。
(1)社内会議のための社内会議がある
ワンマン創業社長が幹部から新人までほぼ全員を罵倒し続けるような会議が、週1回~月1回程度あります。その御前会議のための社内対策会議が開かれることになります。本番の会議に向けて議論や情報がブラッシュアップされていくような内容であればまだいいのですが、まったく同じ内容で予行練習のような対策会議となってしまっています。対策会議における練習時間のほうが、本番の会議よりはるかに長かったりもします。社長当人は、そうした事前会議の存在を知らないことのほうが多いようです。何かわさわさと集まっていることは薄々気づいていても、純粋に現場レベルで議論を深めていると思っていたりします。
多重会議はあくまでも一例ですが、創業して会社を成長させるまでの功績は大きいものの、その後いわゆる老害としてのネガティブインパクトが大きくなり、会社を傾けさせる例はままあります。老害はもちろん9割方は当人に反省すべき点がありますが、社長に進言する人が一人もいない状況を甘受する周囲の人々にも1割くらいは責任があります。
(2)大きなカネの使い方を間違える
トップが自分の好き嫌いで昇格や降格など人事を決め、自分のお気に入り社員にはまるでお小遣いのように給与を上げたり手当をつけたりするのは、会社を傾かせないだけ、まだかわいいほうかもしれません。深刻なのは、はやりものの事業や、本業にまったく関係のないところに莫大なお金を投入することです。