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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

ダメな企業あるある!ダメな人がもっとダメな人を登用して人材レベル低下、エース社員が輝きすぎ

文=中沢光昭/経営コンサルタント
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 エース人材がどのようにして生まれるのかは深い話なので今回はあまり論じませんが、あらゆる仕事をその人に集中させてきた、中心に考えてきたことのツケであるように思います。少し先を見て、幅広く人材を育てるために仕事を割り振ってこなかったともいえます。

 社長や一部の権力者が、とりあえず自分が健在な間を乗り切ること、自分が美味しい思いを続けられるためにという刹那的な時間軸で物事を考え続けてくると、必然的にそうなります。何か課題が発生した時に、新しい人にチャレンジさせるよりも、安心感のある人に委ねるほうが安全だからです。

 これでは、成長の機会が一極集中することによって、エース人材はより成長しますが、他の人材は失敗も成功も経験しないまま年齢を重ねてしまいます。そうしてできた人材のレベル格差と業績の好不調には、相関関係があるのではないかと考えます。

(3)ダメな人が、好き嫌いでダメな人を高く評価する連鎖

 会社は人で動いています。ですが、儲かるかどうかというのは人だけで決まる問題でもありません。勝てる仕組みを築いている会社は、人材レベルが低かったとしても普通に儲かっていたりもします。天才的にその仕組みをつくった創業者が、その他大勢の社員を喰わせている状態です。そうした状態になると、上の人間は好き嫌いで人を動かせるようになります。

 ところが時が経ち、事業環境、規制、インフラなどが変わったり競合が現れ、その勝てる仕組みが崩れた時に、長らくたまっていたツケが一気に噴き出します。
 
 筆者の感覚では、社長が好き嫌い人事をしていること自体が直接的に与えるわかりやすいダメージよりも、そこで寵愛された人が、必ず自分より劣る人を採用・登用することで、間接的かつ平均的にわかりにくく着実に人材レベルが低下していくことによるダメージのほうが大きいように思います。

 まともな人が中途採用の面接に来たとしても、変な人が面接官をやっていると、ほぼ間違いなく通しません。純粋に相手の良いところが理解できないケースと、確信犯的・本能的に自分より優れた人を近づけさせないケースと両方ありますが、結果は同じことです。そして社内の人材に対しては自分と似たような、そしてさらに自分をスケールダウンさせたような社員を役職に就けて、給料を上げて恩を売り、なんでも自分の言うことを聞く駒に仕立て上げたりします。

 あるいは個人的なつながりで中途入社させた人に対して、他の社員とアンバランスな高い給与水準を用意したりします。そうしたアンバランスな人事は、真面目に働いている社員に感づかれてしまうもので、モチベーションダウンにつながります。そうして入社した変な人と、それを採用した変な人とがお互いに褒め合ったりするシーンを見ると、余計に周りの社員のテンションは下がっていきます。

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

企業再生コンサルタント兼プロ経営者。
東京大学大学院工学研究科を修了後、経営コンサルティング会社、投資ファンドで落下傘経営者としての企業再生に従事したのち、上場企業子会社代表を経て独立。雇われ経営者としてのべ15期以上全うし、業績を悪化させたのは1期のみ。
事業承継問題を抱えた事業会社を譲受け保有しつつ、企業再生とM&Aをメインとしたコンサルティングおよび課題内容・必要に応じて半常勤による直接運営・雇われ経営者も行う。シードステージのベンチャー企業への出資も行う。
株式会社リヴァイタライゼーション 代表・中沢光昭のプロフィール

Twitter:@mitsu_nakazawa

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