国際商品の総合的な代表指標であるCRB指数が10日、昨年5月下旬以来約7カ月半ぶりに300の節目を超えた。指標の中心である原油相場が、中東情勢の混乱に伴う地政学リスクの高まりや中国経済への回復期待を背景に、昨年末から上伸したことが主因。ソフトコモディティーと呼ばれるココアなど食品関連銘柄の高騰も、指数を押し上げた。
10日のCRB指数は、前営業日比8.58ポイント上昇し、清算値は305.97となった。昨年12月初めは280台半ばにあったが、その後シリアのアサド政権崩壊による中東の不安定化で石油の供給不安が広がり、相場が勢いづいた。また中国が経済の立て直しに向け、金融緩和政策に取り組むとの観測や欧州の寒波予報が加わり、石油需要が拡大するとの見方が強まった。
指数の構成比率では、ニューヨーク原油(WTI)先物相場が全体の2割強を占める。昨年11~12月に1バレル=60ドル台後半から70ドル前後の間で推移したが、年末にかけて、地政学リスクへの警戒や中国の景気刺激策への期待などを材料に買い進まれた。10日の取引では、ロシアの石油収入を標的にした米英の経済制裁強化の発表を受け、一時77.86ドルまで急伸し、昨年10月以来の高値を付けた。
このほか指数対象の銘柄で、構成比率がそれぞれ5%のココアとコーヒー、1%のオレンジジュースも寄与した。世界的な天候不順の影響で、主産地では不作が続き、いずれも国際的な需給逼迫(ひっぱく)状況を背景に歴史的な高値圏にある。
楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリストは「トランプ米次期大統領が掲げる化石燃料の採掘拡大をめぐり、市場では石油需要が増えるとの思惑が広がっているほか、足元の中国の経済指標に改善の兆しが見られることも期待感を高めている」とし、原油高がけん引する形で指数上昇の流れは当面続くと予想した。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/01/11-10:13)