今回は、総合経済紙「フジサンケイ ビジネスアイ」の中から今後に役立ちそうな経済情報を紹介したい。同紙の前身は産業経済新聞社系列の経済専門紙「日本工業新聞」で、2004年に総合経済紙として再出発した媒体だ。08年に、1面は「ビジネスアイ」、最終面がブルームバーグの「グローバル・ファイナンス」という「ダブルフロント」スタイルの異色の新聞となった。産経新聞系列が発行しているだけにタカ派的なスタンスかと思いきや、そうでもない。中国をはじめ、新興諸国の経済状況のニュースも充実していることから、意外とお役立ちの記事があるのだ。
各社がスクープを用意することが多く、報道関係者が注目する元日における同紙の1面記事は『豊洲再開発 築地は“すしミュージアム” 日本食文化発信に提案』だった。
「豊洲に移転する築地市場の跡地の開発計画はまだ具体的に決まっていない。幻となった2016年東京オリンピック計画では、築地市場跡地にメディアセンターを建設する計画だったが、20年五輪の計画からは消えた」
昨年11月に開催された観光庁長官も参加したとある座談会で、日本創生ビレッジビジネス開発コンサルタントのP・ベーダージョンストン氏は「築地市場跡地には日本を代表する食文化であるすしをテーマにしたミュージアムを建設してはどうか」と提案したのだという。
確かに、昨年12月には日本食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されたこともある。日本食文化を発信する場として築地市場跡地はうってつけだろう。
●訪日中国人の急増
1月14日付同紙記事『訪日2000万人へ行動計画 政府 観光局強化、入国手続き簡素化』にあるように、観光庁によると、昨年1年間の訪日外国人数は推計で約1036万人。
「政府は、東京五輪が開催される20年までに年間2000万人の訪日外国人を達成する目標に向け、今夏をめどに行動計画を策定する方針を明らかにした。海外からの誘客の実行部隊となる独立行政法人の日本政府観光局(JNTO)の機能強化や入国管理手続きの簡素化などが柱。(略)計画は国土交通省を中心に外務省、法務省など関係省庁が連携して6月をめどに取りまとめ、15年度の予算編成や税制改正に反映させる」
計画では次の2000万人の目標に向け、昨年の実績が約1200万人とみられる韓国をまず追い越すことを目指すという。計画が進めば、20年までには主要国で一般的になっている航空機のファーストクラス、ビジネスクラスの利用者を対象とした優先レーンが設置され、地方空港でも受け入れ拡充のため入国管理職員が増員されるなど、訪日外国人にとって利便性が向上するかもしれない。
現在、特に日本に熱い視線を送っているのは、中国のようだ。
17日付同紙記事『国・地域別人気ランク 14年は1位に 中国人旅行先に日本急浮上』によると、「中国の富裕層や中間層の海外旅行先として、2014年の人気トップに『日本』が急浮上した。日本は29.3%(前年は18%)と、米国の28.9%(前年は25%)を上回って一番人気になったことが、米国旅行情報サイト、トラベルズーの調べでわかった。13年はオーストラリアが首位、日本は10位だった。円安元高効果で買い物やグルメに割安感が強まった。『政治と観光は別と考える中国人旅行者が増えている』(上海の旅行代理店)」という。世帯所得が5万ドル(約520万円)を超える中国本土の約3400人から、昨年11・12月に得た回答を集計したものだ。同調査ではさらに、香港で43%、台湾で53%の人々が「日本」を旅行希望先に挙げ、いずれも断然トップだった。
人気の理由は為替レート。人民元は最高値更新が続き、13年12月には約17.5円と1年で約20%も上昇しているのだ。さらに中国では品目により10~30%の消費税が内税で徴収されるため、日本との税率差も有利になるというわけだ。
中国で最も重要な祝日とされる春節(旧正月)。この日に合わせて中国では、沿岸部に出稼ぎに来ている農村出身の労働者が、一斉に里帰りをする。春節の連休を利用して海外旅行する中国人も多く、旅行会社は大々的に海外旅行キャンペーンを打ち出し、日本のみならず、欧州や北米でもこの時期は中国人観光客が急増する。つまり、数億人が大移動をする季節だ。今年は1月31日が「初一」といわれる新年の一日目となり、春節商戦がスタートするわけだ。