「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/9月6日号)は『コンビニ 超進化 進化なくして生き残れない 10兆円市場争奪戦』という特集を組んでいる。「『開いてて良かった』のキャッチフレーズで40年前に誕生したコンビニエンスストア。消費者のニーズをくみ取る形でさまざまな商品や機能を取りそろえ、大きな進化を遂げている。今や全国に5万店、10兆円市場にまで成長、すっかり身近な存在になったが、その“真の姿”は意外に知られていない」という内容だ。
今回の特集の切り口は「進化」だ。14年度には10兆円にもなると見込まれている市場で、生き残るためには進化が欠かせないのだ。
コンビニ大手3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)は昨年度以降、過去最高のペースで猛烈な出店攻勢をかけている。特集記事『賃料3倍で一等地確保! 過熱する大手の出店競争』では、特に業界3位のファミリーマートは「いま優良な立地を確保しなければ、競合に押さえられ、差をつけられてしまう」(ファミリーマート開発本部長)と、最大手のセブン-イレブンに並ぶペース(年間1600店)で出店を続けているという。なお、ローソンは年間1100店ペースだ。
ただし、ファミリーマートのやり方がおかしくなっていると批判の声が出ている。最近は相場の2~3倍の賃料を提示したり、“他社が契約した土地の地主の切り崩しはしない”という業界の紳士協定を破るような動きも見せているのだ。
このファミリーマートの積極攻勢は数字(コンビニ本部の売上高に当たる営業総収益に占める販売管理費率)にも表れている。
「大手3社で比較すると、ファミリーマートの販管費率はもともと競合よりも高い傾向にあったが、13年度は69.1%と前年度から3.8ポイントも跳ね上がり、いまや70%近い水準に達している。(略)販管費率の上昇はそのまま営業利益の圧迫につながる。(略)13年度の営業利益率は前年度比0.4ポイント減の12.5%と、大手3社で唯一マイナスに転じているのだ」(同記事)
●業界再編の可能性も
また、特集記事『過去最高の出店の陰に 忍び寄る業界再編の足音』によれば、コンビニ大手3社が猛烈な出店攻勢をかけ、下位チェーンはじり貧となっていると伝えている。エリアフランチャイズ(FC)として京都や奈良で約100店のサークルKサンクスを運営していた企業が今年3月末、約25年間続けてきたサークルKとの契約を途中解除してローソンと契約、100店がローソンへ変わった。
「サークルKでは、こうしたエリアFCの離反が相次ぎ、他社に奪われている。(略)2011年以降の3年弱の間に、サークルKの全店舗数の1割弱に当たる約500店がローソンとセブン-イレブンにくら替えした。エリアFCが離反する最大の理由は、加盟店の収益悪化だ」(同記事)
加盟店の1日当たりの平均売上高(平均日販)を見ると、サークルKは約45万円と赤字スレスレの状態だ。セブン-イレブンは約65万円。ローソン、ファミリーマートは50万円台なのだ。
東日本大震災以降、惣菜や生活用品などをコンビニで買う女性やシニア層も増加。市場自体が拡大し続けているが、セブン-イレブンの独り勝ち、寡占化が進み、下位チェーンをめぐる業界再編の動きが出てきそうだ。特集では5大コンビニのトップインタビューも掲載しているので、業界関係者は必読だろう。