C ソフトバンクのお父さん犬がどこで登場するか探せ、みたいなキャンペーン予告を上映前にやってて、隣の女のコが「え、そうなんだ。探そー」とか言ってました。それ作品に集中できなくない? と。
A え、そんなこと言ってた? 確かにそれはダメだね……(笑)。
B リアリティ問題でいうと、女子大生の夏美役の本田翼が声優をやっていることをどう取るか。リアリティなのか、棒演技なのか。
C キャスト発表の段階でかなり批判されていて、予告トレーラーで流れたセリフもなかなかひどく、ネット上でめちゃくちゃネタにされていました。確かに下手だな、とは思いましたが、「まぁ、思ったよりは……」という印象ですかね。
B 僕はどちらかというと、刑事さんのほうが気になった。だってモロ平泉成だし(笑)。
A 最近の若者を中心に、「声優が本業じゃないキャストを使ってるからダメ」みたいな風潮あるけど、それの何が悪いのかよくわかんないね。
C ジブリなんかはあんまり本業声優を使わないですもんね。
B 若い世代は『ハウルの動く城』(04年)のキムタク起用のトラウマによって、俳優界の人気者がアニメ界に参入してくることを嫌うとか?
“ポスト宮崎駿”の地位に揺るぎなし
C 深夜アニメが市民権を得て、声優に詳しくなった若者が「こんなにいい声優いるんだから、客寄せパンダで下手くそを使うな!」っていきり立ってる感じですよね。
A まさにそれなんだよ。市民権を得たことで本業声優がつくる雰囲気こそ、“アニメ”になっちゃってるわけ。でも僕らの世代(30~40代)は、アニメ芝居より1990年代のジブリ的キャスティングのほうが味があるし耳に馴染む。宮崎駿はアニメーションじゃなくて映画をつくってるんだから。
B 僕たちと今の若いコでは決定的に聞こえ方が違うんだろうね。そもそも客寄せパンダっていっても、本田翼を起用したからといって観に来る人がいるのかって話。
A ほんと。本田翼の声はいいよ。下手でも内面が伝わってくるから。でも若いコにはこういう起用は資本主義の権化と映ってしまう。でも『天気の子』だけじゃなく、タレントを使うアニメ映画は、監督がちゃんと納得してキャスティングしてるってことを僕は声を大にして言いたいね。