訴訟トラブルを抱える可能性も
予想以上の大絶賛が日本列島を駆け巡り、早くもシーズン2の製作が決定。この展開の早さも、日本の地上波ドラマや大作映画では考えられないレベルだ。
「シーズン1で描ききれてないエピソードも多く、ここから村西監督は松坂季実子を発掘して巨乳ブームを巻き起こしたり、桜樹ルイら専属女優を多数抱え、スタッフや女優たちと共同生活を送るという“ハーレム”を築いていきます。
その後も、不動産投資で大失敗したり、アダルト専門の通信衛星放送事業に投資して資金が焦げ付いたりし、ついには50億円もの負債を抱えて彼の会社は倒産することになるのですが、このジェットコースターのような人生こそが村西とおるの真骨頂。シーズン2は、そんな村西監督のいわば黄金期と没落期を同時に描くことになると思うので、本当に楽しみで仕方ありません。
ただし、すでに業界を引退し、2000年代なかばには肖像権の侵害を主張して大手出版社を相手に民事訴訟を起こしたこともある黒木香さんの一件をクリアにしないまま映像化してしまっているため、ネットでは問題視する声も上がりました。ネットフリックス側としては、“本橋さんの著作『全裸監督』を映像化しただけ”という主張でしょうが、黒木さん本人が肖像権の侵害などとして本作に対しても訴訟を起こせば、映像化にストップがかかる可能性も考えられなくはない。しかし、アダルト業界が隆盛を極めた時代の空気をきちんと表現してみせた稀有な映像作品だと思いますから、シーズン2もとどこおりなく日の目を見てほしいとは思いますが……」
あまりの完成度の高さゆえ、シーズン2への期待も日に日に高まる『全裸監督』。訴訟トラブルに巻き込まれることなく、前作を上回るような衝撃作を期待したいところだ。
(文=藤原三星)
藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>