現在は削除されたが、タレントの島崎遥香が7月に次のようなツイートをして、話題になった。
「おじいちゃんが子供に席を譲ってあげてるのに優先席に座ってる会社員の人たちは何で平気で座ってられるんだろう」
さらに、次のように続けた。
「韓国はすてきだったな~
健康な若者はみんな立ってた
優先席はガラガラでした
色んな国へ旅して素敵なところを沢山吸収したいな」
元AKB48で“神セブン”にも選ばれたことがある「ぱるる」こと島崎が、電車の優先席に座っていた会社員を批判したツイートだったが、特に後半のツイートに批判が集中して、削除に追い込まれた。
「炎上」してしまったのは、言うまでもない。嫌韓の雰囲気が強まっているなかで、日本人会社員を韓国人の若者と比べて批判したからだ。島崎に賛同するツイートも少なかったわけではないが、批判のツイートに飲み込まれていった。
島崎の指摘は、残念ながら事実である。私から見ても、韓国の若者は本当に親切だ。私も道に迷っているときやチケットの買い方がわからないどきなど、若者がすぐ近づいてきて、買い方を教えてくれる。真夏の暑い中、学会で訪れた傾斜のあるキャンパスの中で迷っていたら、女子学生が走ってきて声かけてくれ、汗だくになりながら道案内をしてくれた。
ある程度の年齢になると、韓国の若者が年配者を敬うことをいかに徹底して教えられるか、思い知らされる。島崎ならずとも、日本との違いに感激するのはごく自然なことだ。
ただし、これだけは言っておきたい。果たして、それは住みやすい社会なのか、と。
他人の目を気にしてストレスにさらされる韓国人
韓国は儒教の影響がいまだに強いといわれる。しかも、その儒教は韓国式に歪曲されており、年上の命令は絶対に聞かねばならないといった空気ができあがっている。
「空気を読んでいる」のは、何も日本人だけではない。むしろ、韓国のほうが徹底されているかもしれない。特に年功については、日本どころではない。だから若者は常にストレスにさらされ萎縮している。
だが、同時に年配者も人の目を気にして萎縮している。韓国は年配者のストレスを若者にぶつけられる超ストレス社会だ。若者がのびのびとしている日本と比べると、むしろいびつだと感じることもある。
島崎は、AKB48時代に「塩対応」で有名になった。ほかのメンバーが全力でファンサービスする一方で、笑顔を振りまくこともなく、かなり自由に振る舞った。それでも彼女がさほど批判されることもなく、むしろそれを個性してとられてもらえたのは、ファンが「無愛想さも個性」と好意的に受け止めてくれる、日本人アイドルだったからだろう。
日本でもベストセラーとなった『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健/ダイヤモンド社)は、韓国でも100万部を超える大ベストセラーになっている。私も当時、ソウルを代表する大書店・教保文庫で『嫌われる勇気』の韓国語版が派手に積まれているのを目にした。教保文庫でも、本書は売り上げ1位を続けているという話だった。