ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 大腸菌汚染の韓国キムチ、杜撰な検疫
NEW

大腸菌汚染の韓国産キムチ、基準値超え農薬汚染の輸入パクチーが国内流通…杜撰な検疫の実態

文=小倉正行/フリーライター
【この記事のキーワード】, ,
大腸菌汚染の韓国産キムチ、基準値超え農薬汚染の輸入パクチーが国内流通…杜撰な検疫の実態の画像1
「Getty Images」より

 政府が行っている輸入食品のモニタリング検査で、腸管出血性大腸菌汚染が判明した食品や、基準値を大幅に上回る残留農薬汚染・残留抗生物質汚染が判明した食品が、国内にそのまま流通し、全量ないし一部が消費されている(文末の表参照)。厚生労働省の「輸入食品の違反事例」統計(2016年5月〜19年8月)を筆者が調査し、その実態が判明した。

 現在、輸入食品の食品衛生法に基づく検疫検査における検査率は、わずか8.3%(18年)で、91.7%の輸入食品は無検査で輸入されているが、検査のうち約3割は政府が自ら行い、これがモニタリング検査と呼ばれるものだ。日本全国の港湾や空港の検疫所に配置されている食品衛生監視員(420名)によってなされるが、最大の問題点は、検査結果が判明する前に輸入が認められ、国内流通して消費されてしまうということである。

 本来、検疫検査は、検査結果が出るまでは輸入が認められるべきではない。農林水産省が行っている動物検疫や植物検疫では、この原則が守られている。

 今回の調査で、モニタリング検査のひどい実態が明らかになった。表を見ればわかるように、腸管出血性大腸菌に汚染されている白菜キムチが国内流通し、一部が消費されている。何も知らずに食べた人は、ひどい腹痛に苦しんだことであろう。

 また、残留農薬基準の277倍の農薬に汚染されたベトナム産オオバコエンドロ(パクチー・ファラン)、同様に49倍のタイ産オオバコエンドロ、同63倍のベトナム産PUKWHAN、同25倍の米国産ラズベリーなども国内流通し、全量ないし一部が消費されている。消費量は判明していないが、過去の調査(さいとう和子事務所調査)では、モニタリング検査で残留農薬違反となった輸入玉ねぎが24トン(約24万人分)も国内流通し、全量が消費されていたことが明らかになっている。

 いずれにせよ、食品衛生法違反の輸入食品が堂々と国内流通し、消費されてしまうという事態は、なんとしても避けなければならない。そのためには、政府が行うモニタリング検査は、検査結果が出るまでは輸入は認めないという原則に立ち戻る必要がある。

 現在、TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)や日EU経済連携協定といったメガ食料輸入自由化時代に突入し、さらに日米FTAが締結目前というなかで、食品の輸入はさらに急増することになる。このような時、さらなる国民への被害を防ぐためにも、モニタリング検査の見直しは待ったなしである。

(文=小倉正行/フリーライター)

大腸菌汚染の韓国産キムチ、基準値超え農薬汚染の輸入パクチーが国内流通…杜撰な検疫の実態のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!