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日清カップヌードル「STAYHOT 名探偵」篇
~40年目にして甦る『犬神家の一族』
名探偵・金田一耕助の世界に、カップヌードルが闖入(ちんにゅう)した。パロディのベースとなっているのは、市川崑監督の映画『犬神家の一族』だ。関係者が集まる旧家の座敷も、白いマスクなどの小道具も、しっかりつくり込んである。また古谷一行さんの金田一をはじめ、登場する役者たちも大真面目で演じている。
それでいて、展開されるのがカップヌードルの中身、つまり具材たちによる「権力争い」だというバカバカしさ。このギャップがおかしいのだ。
元ネタの横溝正史作品を知らなくても笑えるが、知っている人はより楽しめる。鉢巻きにフォークを何本も差し、鬼の形相で走ってくる男は、どう見ても『八つ墓村』だ。和服の女性が、つり鐘を思わせる巨大容器の下敷きになっているのは『獄門島』のワンシーンを思わせる。
では、あの“横笛”はどの作品でしょう? とクイズ風に言えば、正解は『悪魔が来りて笛を吹く』。
今年は市川崑監督の生誕百年だ。また1976年の『犬神家』公開から、今年はちょうど40年だ。このCMを見るたび、「いいぞ、もっとやれ!」と声をかけたくなる。
(文=碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授)
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