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『コード・ブルー』の良さは、まずキャスト陣の演技力が高いところ。下手な役者が一人でもいると、どんなにうまい役者が揃っていても、その下手な一人に意識が向いてしまうのが人の常。山下の本業が役者なのか、歌手なのか、アイドルなのか迷うところだが、メインキャストが若いながら、すべて本業「俳優」というキャスティングは、大きな成功の鍵となっているように感じる。
そして出演ドラマが必ず当たると言われる新垣結衣の安定感はさすが。良い意味で、こんなにも我を出さずに魅力的なキャラクターを体現できる新垣のバランスの良さは、他の女優にないスキルだ。嫌われる要素がないと逆に同性からは嫌われがちだが、新垣においては同性からの好感度も非常に高い。
ドラマのヒロインとして白石恵のキャラクターを考えると、当り障りが無さ過ぎて、緋山や冴島といった我の強いキャラクターや、フェローの中で最も臆病でドジな横峯あかり(新木優子)に食われそうなものだが、新垣が演じると白石こそがヒロインで唯一無二の存在になる。医療系ドラマはこれまで数知れず存在し、どぎついキャラクターが人気を博してきた印象が強いが、白石は完全なる「普通の人」で人気を博しているところが凄い。
ドラマの舞台こそ救命救急センターという非日常的な場所だが、ドラマとしてストーリー展開は普通で、そこに普通の人が普通の葛藤を抱くという構成だが、新垣の魅力で画面に見入ってしまう。演じてます! という気負いもなければ、好感度を上げたいという下心も見えない。改めて不思議な魅力を持つ女優だと思った。
『コード・ブルー』も悪くはないが、フジはこの新垣の魅力をさらに引き出すようなオリジナル作品で勝負する勇気を持ってほしかった。続編は大失敗こそしないが、新境地も拓けない。及び腰で視聴率を稼いでも、本当のドラマファンは戻ってこないのではないか、そこだけが気になるポイントだった。
(文=西聡美/ライター)
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