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その反面、感動のラストに至るまでの展開がかなり雑だったことも指摘しておきたい。その最たるものは、迷子を連れて行った施設に偶然初の描いた絵があり、初の母親が子供を置いていなくなった件の真相が明らかになるという、あまりにもご都合主義すぎる展開だ。また、この迷子がカホコのことを何も知らないのに「うっせえな過保護のくせに」と初がかつて言っていた台詞とそっくり同じ台詞をカホコに吐き捨てるのも取って付けたようだった。
ついこの間、デートだと偽って行きたくもない誕生会に自分を連れ出した初に「私とつき合わない?」といきなり言ってくるイト(久保田紗友)もよくわからない。出てきたと思ったら数分でキレていなくなるし、登場人物としての扱いというか描き方が雑だと感じる。
カホコの親戚たちの問題が何ひとつ解決しないなかで、何でも先延ばしにしていたカホコの祖父・正興(平泉成)が突然覚醒したのも、「このタイミングで?」とあきれた。その理由が「カホコに『明日がない人もいる』と言われて目覚めた」というのだから、これまた随分雑な描き方としか言いようがない。人間はそう簡単に変わらないという現実をこれまで描いてきて、急にここだけは孫の一言で改心したというのでは脚本に一貫性がない。
親戚たちの問題が山積みのなか、カホコと初の関係についてはこれでめでたく決着するようにも見えるが、視聴者からは「初は甘えられなかった母親像をカホコに投影しているだけで、純粋な恋愛感情ではなく依存しているだけではないか」との指摘もある。
カホコが当初、新たな世界を開いてくれた初のことをヒナ鳥が親を追いかけるかのように好きになったのと同じ構図ではないかというわけだ。もし、初がさらにそれを乗り越えて対等な関係でカホコと結ばれるまでを描くとしたら、残りの回で回収されなければならない要素はあまりにも多い。ここまで全8話で2ケタ視聴率をキープと好評を博しているだけに、視聴者の期待を裏切るラストだけは避けてほしいが、果たしてどうなるだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)
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