テレ朝、深刻な不振突入…バラエティG帯視聴率上位入りゼロ、人気ドラマS頼みの危険さ
「ドラマでの勝利の方程式」とは、『相棒』『科捜研の女』『ドクターX』など、ドラマ分野でシリーズ化を多用して、安定的に視聴率を確保するようになった点だ。『科捜研の女』は1999年に始まり、今年SEASON17に入った。2002年に始まった『相棒』は今年でSEASON16、12年スタートの『ドクターX』は今年第5シリーズに入っているが、視聴率20%前後を安定的に獲る同局のドル箱に成長した。
しかも同局は、平日午後にドラマの再放送枠を3時間設け、新シリーズ開始時の番宣としても活用している。シリーズ化することで、脚本家・監督・俳優などの新たな才能の発掘にも取り組んでいる。GP帯ドラマで高い視聴率をとるようになった一因である。
失速
ところが14年から、明らかに失速し始めた。12年度上半期のG帯13.2%に対して、13年度同期以降12.4%→11.1%→11.4%→10.8%と下がり、今期上半期は民放3位の10.1%となってしまった。
後退の原因は、12~13年度に数字を上げた原動力が、以前ほど威力を発揮しなくなった点にある。例えば午後帯で頻繁に2桁をとり、続くニュースの数字も押し上げていたドラマの再放送枠が2桁に届かなくなってきた。毎日『相棒』や『科捜研の女』ばかりで、さすがに飽きられ始めたようである。
G帯のバラエティにも陰りが出始めた。2~3時間のスペシャル番組の多用で高い数字をたびたびとってきたが、次第にじり貧気味になっていった。しかも特番のオンパレードで、定曜定時の通常番組が弱体化してしまった。
例えば今年度上半期。ビデオリサーチが毎週発表しているバラエティ番組のベスト10で振り返ると、全体216番組中163本を日テレが占めた。ほぼ4分の3に及ぶ。これに対してテレ朝はわずか3本しかなかった。全体の1.4%に過ぎず、TBSやNHKにも大きく水をあけられた。しかも2本が長時間のスペシャル、1本は日曜昼の放送で、GP帯のレギュラー番組は1つも入っていない。いかに弱体化しているかがわかる。
日テレは編成表が視聴者の体内時計となることを目指し、番組をあまり改編せず、特番も期末期初に極力限定してきた。結果としてコンスタントに数字をとるようになったのと、特番を多用して近年失速したテレ朝は対照的といえよう。