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鈴木祐司「メディアの今、そして次世代」

連ドラ、全話ネット無料放送が一般化か…フジ『明日の約束』視聴率爆増の「隠れた仕掛け」

文=鈴木祐司/次世代メディア研究所代表

 2017年は“テレビ×ネット”をキーワードに、いくつかの局面でターニングポイントを迎えた1年となった。前回記事でテレビCMや全数ログ(視聴履歴データ)分析によるマーケティングの分野で進化が始まっている点を解説したが、もう一つ、連続テレビドラマにも新たな可能性が出始めた。そこで今回は、“テレビ×ネット”がドラマの分野にどのような事態をもたらす可能性があるかについて考察してみたい。

17年のドラマ界

 まず、17年の民放ドラマ全話平均視聴率ベスト10をみてみよう(以下、視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区)

1位:20.9%『ドクターX』(テレビ朝日系)
2位:16.0%『陸王』(TBS系)
3位:14.8%『コード・ブルー』(フジテレビ系)
4位:14.6%『A LIFE』(TBS系)
5位:14.1%『緊急取調室』(テレビ朝日系)
6位:13.6%『小さな巨人』(TBS系)
7位:12.7%『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)
8位:12.5%『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)
9位:11.9%『コウノドリ』(TBS系)
10位:11.5%『過保護のカホコ』(日本テレビ系)

 16年秋クールの『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)ほどインパクトのあるドラマはなかった。ただし、『ドクターX』が全話平均で20%を超え、相変わらずの強さを見せつけた。また『陸王』最終回が20%を超え、これでTBSは秋クールドラマの最終回で『下町ロケット』(15年、22.3%)、1『逃げ恥』(16年、20.8%)と、3年連続で大台を連打している。ほかにもTBSドラマには佳作や力作が並び、充実の1年だったといえよう。

チェインストーリーという仕掛け

 そんななかにあり、ドラマが“テレビ×ネット”で新たな可能性を見せ始めた。関西テレビが秋クールで放送した『明日の約束』での新展開だ。まずはチェインストーリーと呼ばれる取り組み。ドラマの初回放送後に“放送では描かなかった”1.5話をミニドラマとして配信し、翌週の2話につなげる。その後、2.5話配信、3話放送、3.5話配信……と鎖のようにつなげていく仕掛けだ。

鈴木祐司/メディアアナリスト、次世代メディア研究所代表

鈴木祐司/メディアアナリスト、次世代メディア研究所代表

東京大学文学部卒業後にNHK入局。ドキュメンタリー番組などの制作の後、放送文化研究所、解説委員室、編成、Nスペ事務局を経て2014年より現職。メディアの送り手・コンテンツ・受け手がどう変化していくのかを取材・分析。特に既存メディアと新興メディアがどう連携していくのかに関心を持つ。代表作にテレビ60周年特集「1000人が考えるテレビ ミライ」、放送記念日特集「テレビ 60年目の問いかけ」など。オンラインフォーラムやヤフー個人でも発信中。
次世代メディア研究所のHP

Twitter:@ysgenko

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