ドラマ1話で600万円?米倉涼子のギャラが上がるカラクリ…俳優とギャラの危険な関係
2クール連続で主演した波瑠の“すごさ”
制作側からのオファーそのままの金額でなく、事務所の戦略としてギャラ交渉をすることも、もちろんありますよ。全体の予算とか、どうしてもこのラインは切れないという状況もあるので、当然ケースバイケースですが。例えば「1番手で出演するんだったら○万円くらい欲しい」「3番手でスケジュール拘束されるのが1週間のうち1日だけで済むなら○万円くらいで」なんていうふうに交渉することはあるでしょうね。
主演となると1週間フルで時間を取られちゃうし、その間はほかの仕事もほとんどできないんで、やっぱりある程度のギャラはもらいたいところなんです。ドラマって、タイムスケジュール的にはホントに効率悪いんですよ。
例えば、ドラマの主演を1クールやるとなると、だいたい4カ月はそのドラマにかかりきりになる。だいたいオンエアの1カ月前から撮り始めて、そこから最終話が放送されるギリギリまで撮ってる場合が多いんです。例えば1月期のドラマだと、前の年の12月から撮り始めて、1月に放送スタート、そして3月に放送される最終話直前まで撮影……ということで、だいたい計4カ月くらいはかかる。で、ドラマ主演となると番宣のようなプロモーション活動も多いので、その間、ほかの仕事は広告くらいしか入れられなくなっちゃうんですよ……。
だから、2018年だと波瑠ちゃんが『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系、2018年4月~)と『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系、2018年7月~)に出演してましたけど、2クール連続で主演してる人って、ほんとすごいなと思いますよ。波瑠ちゃんのスケジュールがどういう感じだったか詳細は知らないけど、通常のドラマのスケジュール通りでいくと、少なくとも1カ月間は2つのドラマの撮影がクロスしてるってことですからね。
最近だと、石原さとみちゃん主演の『アンナチュラル』(TBS系、2018年)や賀来賢人くん主演の『今日から俺は!!』(日本テレビ系、2018年)みたいに、放送前には全部撮り終わっている“早撮り”ドラマとかもあるんで、オンエア時期はカブるけど撮る時期はバラけているみたいな場合もありますけどね。
『半沢直樹』続編を蹴ってNHKを選んだ堺雅人
で、ですね。今まで話してきたギャラのお話は民放ドラマの場合なんですけど、これがNHKのドラマとなると、また話が全然変わってくるんですよ。
よく知られた話ではあるけど、NHKの場合は、“NHKへの貢献度”や“出演回数”などをポイント制にした実績表のようなものがあって、それによってギャラが決まってるんですね。NHKのドラマに主役として何回出演したか、脇役として何回出演したかで少しずつポイントを積み重ねていく感じです。
なので、朝ドラ(NHK連続テレビ小説)では実績のほとんどない新人ヒロインが抜擢されることが多いけど、そういう場合はギャラが激安だったはず。1話数万円とかだったかな。そして民放だと高額なギャラが必要になるベテランや大物俳優も、NHKだと規定の金額でいいから、トメ(番組クレジットの最後に表示される重要な役)に超ベテラン俳優を使ったり、脇役を豪華にしたりもできるんですよね。
とはいっても、朝ドラって半年間かけて大体150話くらい放送されるんで、主演で数を重ねると結構な金額にはなる。1話5万円だとしても、単純に計算すればトータルで約750万円。新人タレントの仕事として考えると、そこそこの売り上げになりますよね。さらに朝ドラ効果で必ずCMの仕事が決まりますしね。
また、民放で大ヒットしたドラマに出演していた売れっ子俳優でも特別扱いはないので、民放ドラマのオファーとNHKドラマのオファーで、ギャラにものすごく差が出ることがあります。
例えば、堺雅人さんが大河ドラマ『真田丸』に出演したときのギャラは1話当たり70万円~だったといわれています。『リーガル・ハイ』(フジテレビ系、2012年)や、出演料が1話当たり180万円だったという『半沢直樹』(TBS系、2013年)で大ヒットを飛ばした後の大河ドラマでもその金額なんだから、驚きですよね。同じ頃、堺さんはTBSから『半沢直樹』の続編を1話あたり400万円~でオファーされていたという噂ですから、ものすごい差ですよね。堺さんも『半沢直樹』続編のオファーを蹴って『真田丸』への出演を決めたわけですが、やっぱりNHK大河ドラマともなると、ドラマのクオリティの高さ、放送エリアの広さ、そして何より俳優としての箔が付きますからね。ギャラは安くても、そういうメリットでNHKのオファーを受ける人は多いでしょうね。
あと、NHKのドラマって、BSで放送されたり、ほかのチャンネルで再放送されればそのぶんの放映権料が入ってくるんですよ。ほかにも、大河ドラマや朝ドラに出演しているときだと、イベントに呼ばれたり、関連本がつくられたりでギャランティが入ってくるので、そういうところで補填できるっていうメリットもありますね。
さて、おカネの話、次回以降もまだまだ続きますよ~!
(構成/白井月子)