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オリンパスは13年1月に同確認書を東京証券取引所に提出した。ところが社内の手違いで海外工場の監査を行っていないことが、提出直前になって判明。監査を行ったことを示す書類は、確認書に添付しなければならない重要なもの。同社は締め切りに間に合わせるために監査を行ったことにして、確認書の日付などを手書きで改ざんした。大きな不祥事を起こしたことへの反省を意味する確認書に、改ざんを紛れ込ませていたのだ。
この話には後日談がある。筆者がこの問題を月刊誌「ファクタ」(ファクタ出版)に記事として掲載したところ、これを読んだ金融当局幹部は日本取引所グループの審査担当者を呼んで「この記事は本当か」と問いただした。審査担当者は改ざんがあったことを認め、形式的な改ざんであったうえ、事後的に監査を行ったため不問に付したと答えた。
3月6日付当サイト記事『オリンパス、内視鏡不具合で大規模リコール 自社HP等で開示せず、隠蔽体質温存か』で指摘した内視鏡の改修問題と同様で、都合の悪い情報は隠したりごまかしたりする企業体質が改まらない限り、オリンパスは今後も同じような過ちを繰り返し、いずれは最大の収益源である医療機器事業の競争力が蝕まれるに違いない。
(文=山口義正/ジャーナリスト)
●山口義正(やまぐち・よしまさ)
ジャーナリスト。日本公社債研究所(現格付投資情報センター)アナリスト、日本経済新聞記者などを経てフリージャーナリスト。オリンパスの損失隠しをスクープし、12年に雑誌ジャーナリズム大賞受賞。著書に『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)
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